島根原発防災訓練ウオッチ
11月7日と12日に、島根県原子力防災訓練が実施されました。コロナ禍で2年間中断していたもので、久しぶりの開催となりました。
12日は、実際に『避難者』を動かすというものでした。私は島根県雲南市の加茂地区に住んでいる人が、バスに乗って避難退域時検査場所の、同じく雲南市にある道の駅「たたらば壱番地」で、放射線測定などを行う様子を見るところから始めました。その後避難経由所となっている広島県三次市のみよし運動公園を経由して、避難所の三次酒屋体育館に行き、避難所設営訓練の様子をウオッチしました。
『たたらば壱番地』は、松江市の大野地区に住んでいる自家用車による避難者も集まってくる場所になっており、マスコミ、島根県担当者、中国電力、四国電力、内閣府というゼッケンをつけた人など、多くの人が集まっていました。丸山達也島根県知事も作業服を着て様子を観ていました。
避難訓練は、原発から30キロ圏内にある島根・鳥取両県から、島根・鳥取・岡山・広島県へ避難するというものです。私たち中国地方連絡会議の仲間たちが、みんなで手分けして各地の様子をウオッチしました。その後、みんなで「ウオッチ振り返り会」を開きました。その中で出てきた感想などを書いておきます。
この度は自家用車による避難者も想定した内容となりました。そして実際には動かさなかったのですが、海上保安庁による船舶避難、陸上自衛隊によるヘリも準備していました。住民アンケートでは、約9割の人が「マイカーで避難する」と答えているので、マイカー避難も訓練の中に入れたのでしょう。しかしもっとも懸念される問題は、実際に避難をする際の交通渋滞や、放射線検査や避難者誘導、避難所設営などの作業にあたる人員の確保、駐車場などの問題です。
避難退域時検査場所になっている「たたらば壱番地」の駐車場容量は、150台です。しかし雲南市加茂地区の避難者だけでも、約5,800人とされています。松江市からの避難者も加われば、大げさではなく松江の高速道路入口から自動車は動かなくなるでしょう。
また、車の放射線測定はタイヤ部分とワイパー部分に限定されており、3年前の時の車全体の放射線測定から、簡略化されていました。除染もウエットティシュによる拭き取りという方法になっていました。本来なら高速洗浄機で洗うという方法です。
そして『避難者』になった人がほとんど高齢者で、子どもや主婦層の姿が見られなかったことです。
全体的に感じたことは、訓練の規模が小さ過ぎです。島根原発は30キロ圏内に住んで人が約46万人です。原発から30キロ圏内の人口は、国内の原発では3番目に多い数なのです。こんなに多数の人たちに対応ができる技能をもった人材が確保できるのでしょうか。
そして不思議に思ったのは、防災訓練が行われたことを、避難元、避難先自治体も含めてどれくらいの人が知っていただろうかという疑問でした。みんなが知ってほしいことですから、もっと広報をしっかりと行って、見学に来てほしいと宣伝しなかったのだろうかという疑問でした。
関係する雲南市、三次市の担当者以外、他の自治体からの人の姿はほとんど見かけませんでした。あまり知らせずに、秘密でやっていたことを明らかにしたのではないでしょうか。
この度も自家用車もバスも含めて道を迷った人もありました。トイレ、駐車場確保のこと、安定ヨウ素剤の配布、コロナ対策、降雪、燃料確保、寒さ対策などを考えると、実効性のある避難など考えられないというのが結論です。
訓練が終了したので、島根県は関係自治体などが参加する「原子力防災訓練の評価に関する会議」を例年通り開催するそうですが、それまでにこの度の訓練で感じたことや要望をまとめておきたいと思っています。
結論は、避難訓練をしなければならないような原発はやめることです。そのことを実感しました。みんな分かっているのに実行しないのは、まさに「裸の王様」ではないでしょうか。
木原省治
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