原水爆禁止世界大会の名称は、なぜ「被爆○○周年」か―その2
12日のつづきです。
大会基調では、この被爆からの20年間の世界情勢を簡単に述べた後、次のように運動とのかかわりが書かれています。
「過去20年間におよぶ歴史の中でつくりだされた、戦争を否定し平和を追求するという人間尊重の意識は、もはや、たんなる一部の有識者や政治勢力のものだけではありません。とくに被爆国日本にとって、原水爆禁止の意識は、国民の心の深層に定着した共通の国民創意であります。これを積極的にまもり育て、そして平和をめぐるきびしい情勢をのりこえる力としてもりあげていくことこそ、原水禁運動に新しい息吹を注ぎ、その歴史的伝統をうけつぎ、発展させる原動力でありましょう。」
ここでは、原水禁運動のスタートとなったビキニ被災に始まる署名運動の歴史的伝統を引き継ぐ決意が表明し、民衆の力の大切さが強調されています。
被爆20周年原水禁世界大会
さらに大会基調は「20周年」ということばの意味を強調します。
「私たちが二〇周年を記念するのはこのような意味からであり、それはたんに、過去を追憶するという問題にかぎられません。むしろ、この意味ある日を記念することをとおして、こんごの私たちの運動課題とその方向を見定めることこそ、今日の任務であります。」
その後、大会基調は、情勢や国内外の運動の状況に触れた後、「原水爆禁止運動の歴史的発展」として次のように述べています。
「この運動は、政治の手段として、いかなる核兵器の使用・保有も許さないという理念に基づくものであり、『いかなる国のいかなる理由を問わず』原水爆の実験・使用・製造に反対する基本要求によってつくりだされる大衆運動であります。(中略)広島・長崎の体験を土台にして、ビキニ被災を契機に発展してきた原水爆禁止運動の歴史的伝統をうけつぐ運動主体をつくりあげ、強めることは、極めて重要であるといわなければなりません。同時にこの伝統を真にうけつぐことは、この運動の中でつくられた運動の基本原則を尊重することにほかなりません。そして、そのことが保証されるためには『原水爆禁止』と『戦争反対』を希求するすべての団体、個人に、そして国民諸階層に解放された民主的運動体が確立されなければなりません。」
原水禁運動の分裂の原因となったいわゆる「いかなる」問題について、強調されていることが、特に気づく点です。今では、この「いかなる問題」は、原水禁運動の中では当然のことになっています。
つづいて大会基調は、原水爆禁止国民会議の結成に至る経過を述べるとともに、そこで確認された「原水爆禁止運動の基本原則」の中核となる5項目を紹介しています。
ここでは、今に続く「原水禁運動の基本原則」5項目のうち最初の3つを掲載します。
1、広島、長崎・ビキニの被爆の原体験を運動の基礎とする。
2、いかなる国の核兵器の製造、貯蔵、実験、使用、拡散にも反対する。
3、平和憲法の理念を基礎とし、原水爆の禁止と完全軍縮が、現在の異なる社会隊の平和共存のもとで可能であるという立場に立つ。
〈以下略〉
この基本原則について、そのすぐ後に次のように触れていることも紹介しておきます。
「この『基本原則』は、たんに『原水爆禁止日本国民会議』の基本原則であるだけでなく、被爆の原体験をもとに、原水爆の脅威から人類の生存と繁栄をまもる立場に立つ全ての団体や、個人に広く支持される基本原則であろうと思います」と。
まさにこの基本原則は、今もゆるぎなく原水禁国民会議の運動の柱として生きつづけています。
原水爆禁止国民会議を結成し、被爆20周年原水禁世界大会を開催してから52年がたちましたが、この大会報告集を目にして、大会名称に込められた思い、そして確認された運動の基本は、今でも繰り返し確認することが大切だと、改めて実感しています。
いのちとうとし
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