今年3度目の「原爆の絵画展」に行きました。
広島国際会議場で開催されていた「聞き、描く。共に、描く。高校生が描いたヒロシマ 原爆の絵画展」に行ってきました。
広島市立基町高校普通科創造表現コースの生徒たちが、原爆被害の実相を後世に伝えるため被爆体験証言者とともに取り組んでいる「原爆の絵」の展覧会についてこのブログで、すでに今年2回(「原爆の絵」原画展に行っていました: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com、新作が並ぶ「原爆の絵画展」に行ってきました。: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com))紹介しています。
3度目になりますので、どうしようかと迷っていたのですが、1枚だけみたい絵がありましたので、最終日の13日に行ってきました。今日はその1枚について、紹介したいと思います。
その作品は、「おびただしい遺体(8月7日早朝、住吉橋東詰め)」とタイトルが付けられた、この作品です。
被爆体験証言者は、飯田國彦さん、製作者は、高校3年生(当時)のサンガー梨里さんで、2021年度完成の新作です。
広島テレビのドキュメンタリー番組(番組名は失念して紹介できないのですが)で、飯田さんの被ばく体験と、この二人の共同による作品制作の苦労の様子の一部が紹介された場面が印象に残っていました。描かれた場所が「住吉橋東詰め」だったことも関心をもって一つです。この橋のことも、「住吉神社の被爆」のことを紹介したこのブログで触れていたからです。
この絵画展では、作品ごとに「タイトル、描いた場面の説明、生徒のコメント、被爆体験証言者のコメント」が書いたキャプションが横に貼られていますので、この作品への思いを知ることができます。
番組の中で、この作品の制作風景とともに「足の踏み場のない程の遺体が横たわっていた」という証言をどう描くのかで苦労したこと、それに対し飯田さんが「私が伝えたいこと、足の踏み場もない程の遺体の様子が良く表現されていますよ」とサンガーさんに伝えている姿が、紹介されていました。
この写真では、見えにくいのですが、会場では、遺体がびっしりと描かれた様子をじっくり見ることができました。サンガー梨里さんは、制作の苦労を次のように書いています。
「今回の絵は、飯田さんだけでなく、この風景を見た飯田さんの叔母様の想いも背負って描きました。数え切れないほどの人を描くのに大変苦労しました。飯田さんをはじめとして、先生方や同じ教室で制作していた仲間、原爆資料館のスタッフの方にも助けてもらい、描き続けることができました。飯田さんと2年にわたり、2枚の原爆の絵の制作を経て、私の平和に対する向き合い方が変わり、自分にできることをより積極的に考えるようになりました。(略)この2年間に原爆の絵を制作して学んだことは一生忘れないと思います。」
テレビの番組でも紹介されていましたが、飯田國彦さんは、3歳の時に被爆、この場所には、叔母の山本弘子さんに抱っこされてたどり着いたそうですから、飯田さんが直接目にした体験ではないかもしれませんが、どうしても語っておかなければならないという強い思いを感ずることができます。
そしてそれを受け止め、懸命にその時の様子を描こうとする高校生たちの苦労の様子を改めて実感した今回の「原爆の絵画展」でした。
いのちとうとし
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