「和解を導いた力Part2-西松建設裁判原告・邵義誠さんの闘いを振りかえるー」
広島安野・中国人被害者を追悼し歴史事実を継承する会(以下「継承する会」)が主催する「和解を導いた力Part2-西松建設裁判原告・邵義誠さんの闘いを振りかえるー」が、10月22日午後2時から弁護士会館で開催されました。
この集会は、毎年行われる安芸太田町安野で行われる「中国人受難者を追悼し平和と友好を祈念する集い」の前日に行われてきた講演会です。
「和解を導いた力」のタイトルでの集会は、今年が2度目です。昨年は、裁判の原告団長だった呂学文さんの闘いを振りかえりましたが、今年は呂学文さん(2003年8月死去)から「後は頼んだ」と電話で託され、その後原告団長としての役割をはたしてきた邵義誠さんの闘いを振りかえりました。
最初に川原洋子さんが、「邵義誠さんの軌跡」を次のように紹介しました。
帰国後厳しい生活を余儀なくされた邵義誠さんが、初めて安野の受難労工者の生存者であることがわかったのは、1996年6月です。96年8月に広島市民の訪中により自宅での聞き取り調査が実施されて以降、1998年1月に原告5人を代表して53年ぶりに来日し、西松建設を広島地裁に提訴しました。そのご、広島地裁における原告本人尋問で証言、最終弁論で意見陳述、また最高裁でも意見陳述を行いました。2007年4月に最高裁で敗訴判決を聞いた後も、西松建設との和解交渉で中心的役割を果たしました。和解後は、西松安野友好基金運営委員として2010年10月の「安野中国人受難之碑」除幕式に参加されました。
川原さんの紹介の後、当時のニュース映像が上映され、ありし日の邵義誠を偲びました。
コロナ禍で今年も中国からの来日ができず、中国とオンラインで結び、長女の邵莉娜さん、夫の張振侖さんの二人に川原さんが質問する形で遺族から見た邵義誠さんのことを聞きました。「和解後の父の話は?」の質問に「うれしそうな様子で、『360名の労工に報告できる。』と話した後、『これは自分と日本人の共同の結果。大変うれしかった。やっと成果が実った』と話していました」との長女莉娜さんの話が印象的でし。
休憩の後は、元西松建設弁護団の一人だった山口格之さんから、裁判所での邵義誠を紹介。その中で「朗らかでひょうひょうとされていたが、本当に心強い人だったことを強く印象に残っている」と人柄の紹介し、「最高裁の付言もあったが提訴前からの積み重ねがあったから和解を招くことができた」と運動の大切さが強調されました。
次に元西松安野友好基金運営委員長で弁護士の内田雅敏さんが、「和解の意味を考える」と題しての話。強調されたのは、「和解の実現は解決のチャンスを逃さなかった広島の運動の継続があったから」とし、「運動があったからこその和解だった」ことが繰り返し話されました。
最後に、継承する会世話人代表の足立弁護士が、閉会の挨拶をして集会は終了しました。
帰宅後、この集会で何度も取り上げられた2007年4月27日の最高裁判決の付言を読み直しましたので、紹介します。
「なお,前記2(3)のように,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおいても,個別具体的な請求権について債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられないところ,本件被害者らの被った精神的・肉体的苦痛が極めて大きかった一方,上告人は前述したような勤務条件で中国人労働者らを強制労働に従事させて相応の利益を受け,更に前記の補償金を取得しているなどの諸般の事情にかんがみると,上告人を含む関係者において,本件被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待されるところである。」
和解成立後、生存者・遺族を探し出す調査を行い和解事業に力を注いだ邵義誠さんは、2018年2月に亡くなりました。
いのちとうとし
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