中国電力、1,390億円の赤字を予想
9月13日、中国電力の瀧本夏彦社長が記者会見を行い、来年3月期の決算予想として「1,390億円の赤字と」発表しました。まず9月のこの時期に、来年3月期を発表するというのに驚きました。発表するとしても、今年度の中間決算が出される10月以降だと思っていたからです。過去最大の赤字額としています。
中国新聞 2022.9.14より
赤字の原因は燃料費の高騰としています。これも「過去に例がない」としています。確かに火力発電の燃料であるLNG(液化天然ガス)などの化石燃料は値上がりしていますが、赤字の原因はこれが唯一のことでしょうか。
このブログにも何度か書いていますが、全国の原発を所有している9地域電力会社の中で、再稼働(島根原発2号機)、建設中(島根原発3号機)、廃炉(島根原発1号機)、新設(上関原発1・2号機)など、原発問題オンパレード会社は中電だけです。ついでに言えば、この年末にも運転開始が予定されている浜田市の三隅火力2号機にも、大金をつぎ込んで建設しています。
島根原発2号機の再稼働への「安全対策」費用、現時点で公けになっているだけで6,000億円以上とされています。上関原発計画は計画浮上から40年ですが、この間にいくらのお金を使ったでしょうか。公けには約690億円とされていますが、そんな少額ではすまないでしょう。
この程度の電力会社の「この程度」という意味は、電力販売量などのことですが、沖縄を除く9電力会社の中で真ん中より低いところに位置する中電ですから、資金調達的にも技術的にも無理なのです。
島根原発2号機が再稼働したら1日1億円の収入になるとしていますが、点検もしないで1年365日稼働したとしても365億円、運転開始は1989年7月ですから、40年という運転年数を考えたら残り7年です。1年に365億円×7年で2,555億円の収入でしかなりません。明日から動かしたとしても、定期点検を実施しないとしても6,000億円にはなりません。
中電に言わせれば安全対策は、3号機にも関連しているとするでしょうが、それはまさに「取らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)」でしょう。
中電のこの10年間の収益のグラフを見ると、2020年は1,000億円近い増益になっていますが、これは決算の計算方法が変更されたことによるものです。
中電はこれからどうするか? とりあえず「自由化料金」といわれている、中電の裁量で値段を引き上げることのできる「スマートプラン」の料金や、深夜割引き、オール電化割引き料金を引き上げるでしょうね。
年末のボーナスも下げるでしょうが、この赤字の原因は働いている社員の責任では決してありません。繰り返しになりますが、身のほど知らずの金を使っている政策の誤りからです。中電に言わせれば「国の指導に従った」というでしょうが、これで許されるということはありません。
今年の株主総会で、取締役などの役員報酬を個別に明らかにすることを求める株主提案議案を出しました。この議案には、20パーセントを超える株数が賛成してくれました。こんなことはこれまでに無かったことです。
負けるのは分かっているのにパチンコや賭け事などにはまり込んで、抜くに抜けない状態で家庭を崩壊させるのと、似ているなあーと思っていました。
木原省治
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コメント
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国民の玉木雄一郎代表。いいことを、言いますね.再エネ賦課金徴収停止をと。これぞ、国民に対して、平等ですね。政府は、やらないでしょうけど・さすが、入省時、主計局総務課配属ですね。
投稿: 匿名希望します。 | 2022年10月 9日 (日) 14時42分