「核と人類は共存できない」か「核と人間は共存できない」かーその1
先日、豊永恵三郎さんから「森瀧先生が言われたのは『核と人類は共存できない』ではなく、『核と人間は共存できない』だと広島大学の先生から指摘を受けました。私は『核と人類は共存できない』と思っているのですが、金子さんはどう思われますか」と問い合わせる電話がありました。
その時は、私も、豊永さんと同じように当然「核と人類は共存できない」だと思っていましたので、そのことを伝えるとともに、「私なりに調べてみます」とお答えし、電話を切りました。
広大の先生は「『人間』と書かれたものを見た」と言われているということ(この時点ではどこに書かれているのかは不明)でしたので、私も気になったので、関係する文献を調べてみることにしました。その結果をこれから4回に分けて紹介します。
最初に調べたのは、森瀧先生が最初にこの言葉を提起された被爆30周年原水禁世界大会の基調演説です。この基調演説は、原水禁国民会議が2015年に発刊した「核と人類は共存できない」に収録されていますので、すぐ見つけることができました。
同書の55頁に次のように書かれています。少し長めですが、前後を含めて引用します。
「私たちは今日まで核の軍事利用を絶対に否定しつづけてきましたが、いまや核の平和利用とよばれる核分裂エネルギーの利用をも否定しなければならぬ核時代に突入したのであります。所詮核は軍事利用であれ平和利用であれ、地球上の人類の生存を否定するものであると断ぜざるを得ないのであります。結局、核と人間は共存できないのであります。
共存できないということは人間が核を否定するか、核が人間を否定するかより外ないのであります。われわれはあくまで核を否定して生きのびなければなりません。
核兵器を絶対否定してきた私たちは平和利用をも否定せざるを得ない核時代に突入しているのであります。『核兵器絶対否定』を叫んできた私たちは今やきっぱりと『核絶対否定』の立場に立たざるを得ないのであります。『平和利用』ということばにまどわされて『核絶対否定』をためらっていたら、やがて核に否定されるでありましょう。先日の国際会議で私があえて提起したテーゼは『核分裂エネルギーを利用する限り人類に未来を失うであろう』ということでありました。くりかえし申し上げます。『核分裂エネルギー使用する限り人類は未来を失うであろう』と。
人類は未来を失ってはなりません。未来の偉大な可能性を確保しなければなりません。私は被爆30周年のこの大会で世界に訴えます。
人類は生きねばなりません。そのためには『核絶対否定』道しか残されていないのであります。
ご清聴感謝します。」
確かに、この文章の中では「核と人間は共存できない」となっています。気をつけて読んでいなかったなと反省しました。
「本当にそうなのか、誤植ではないか」と疑問が湧きましたので、そのもととなっている「被爆30周年原水爆禁止世界大会報告決定集」を調べることにしました。
いのちとうとし
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