「核の平和利用」を認めた結果が?
7年ぶりに開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、前回(2015年)に続き、再び最終文書を採択できずに、26日閉幕しました。
その問題点については、イライザさんが昨日の「ヒロシマの心を世界に」NPT再検討会議で最終文書不採択: ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)で詳しく書かれていますので、ぜひそれを読んで下さい。
私は、少し違う視点から、この問題を考えてみたいと思います。
28日付の中国新聞1面には「NTP会議再び決裂」の見出しが大きく横書きされ、縦書きの一行目の見出しは黒い地紋に白抜きで「露、ウクライナ原発記述に反発」と書かれ、ロシアが反対したため、最終文書が採択できなかったことを強調しています。
確かにロシア一国が反対したため、最終文書が採択できなかったことは、間違いのない事実ですので、その限りにおいてロシアが避難されるのは当然のことだと思います。
ただ私が着目するのは、最終的に合意ができなかったといわれる「ウクライナ南部ザポロジエ原発の管理をウクライナに戻すことを促す」項目(28日中国新聞3面)です。
ザポロゼエ原発
私がここで指摘したいのは、ロシアのウクライナ軍事侵略によって明らかになったことは、もちろん原発の管理の問題もありますが、戦争(軍事攻撃)の中で、原発がいかに脆弱で危険なものかということです。ザポロジエ原発だけでなく、チェルノヴリ原発で起きる軍事行動のニュースが伝わるたびに、私は原発事故というか破壊の危機に直面し、その惨事が起こらないことを願いました。
以前から指摘されてきたことですが、核拡散防止条約の問題点の一つとして、非核兵器保有国に核兵器の保有を求めない代償として核の平和利用(原発)を認めていることが挙げられています。
皮肉なことに、核拡散防止条約で認めている原発が、今回のNPT再検討会議での最終文書採択の足かせとなったのです。
ロシアのウクライナへの軍事侵略によって「核兵器使用の危険性」に現実のものとして向き合うことになったのですが、同時にこの軍事侵略は、原発がいかに危険なものであるかも明らかにしたはずです。
現に、ザポロジエ原発は、いまも砲撃にさらされ、大惨事の瀬戸際にあることが、連日報道されています。ザポロジエ市は、甲状腺の被曝を抑える安定ヨウ素剤の配布を始めたと報道されています。
最終文書案の全文を見ていませんので憶測でしか言うことはできませんが、こうした「原発の危険性」については、全く触れられていないと想像できます。ザポロジエ原発をどこが管理するかも重要なことかもしれませんが、それ以上に原発の危険性こそ、論議されるべき課題であったはずです。
しかし、核の平和利用は、残念ながら核兵器禁止条約でも認められているのですから、それを望むのは無理なことかもしれません。
だからこそ私たちは、「核と人類は共存できない」「核絶対否定」の理念を強く訴えなければならないのです。それが私たちの役割だと改めて決意しています。
いのちとうとし
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