復興支援の論議より停戦にこそ力を
EU(欧州連合)に加え、アメリカ、日本など40カ国が参加して、ロシアの軍事侵略で甚大な被害を受けるウクライナの復興を話し合うための国際会議「ウクライナ復興会議」が、スイスで7月4日、5日の2日間開催され、最終日には復興への原則を取りまとめた「ルガノ宣言」が採択し、終了したと報道されています。
日本政府からは鈴木貴子外務副大臣が参加し、国際社会と協力しながらウクライナの復興に向けて、強力に支援する考えを表明しています。
この会議で、ウクライナ政府は、復旧や復興を進めるためには、現時点で総額およそ7500億ドル、日本円にして100兆円余りが必要になると強調しています。
この会議は、2017年に始まった「ウクライナ改革会議」がもとになっており、来年は英国で開催されるようですから、ロシアへのウクライナ軍事侵略が始まったから開かれた会議ではないようですが、従来とは全く性格を異にする会議となったことは明らかです。「改革会議」という名称がちょっと気になりますが。
2月24日に軍事侵略が始まってすでに100日を超えましたが、依然として戦闘行為は続いたままです。建物の破壊が続き、避難は続き、何よりも絶対に復興することのできない市民のいのちが奪われ続けています。ウクライナ・ゼレンスキー大統領は、繰り返し「2月24日以前の状態に戻すまで闘う」と発言しています。そしてそのための武器を支援しているのが、今回の「ウクライナ復興会議」の中心メンバーであるEUであり、アメリカです。
この「ウクライナ復興会議」のニュースに接して、私は非常な違和感を持ちました。「復興を話し合うより先に、まず停戦をさせることは先だ」と思うからです。
この軍事侵略による破壊の責任がロシアにあることは言うまでもないことですが、武器を供給し続け、戦闘行動の継続を言い続ける限り、被害は拡大し続けるばかりです。復興費も当然増大します。
今やるべきことは、即時に停戦を実現することです。そのためにこそ、国際社会は役割を果たすべきです。当然日本もです。
外務省は、「ウクライナ復興会議」について「鈴木外務副大臣『ウクライナの復興に関する国際会議』に出席」という報道発表をホームページに掲載しています。その中で鈴木外務副大臣の冒頭の発言として次のように紹介しています。
「唯一の被爆国であり、また、様々な自然災害から復興を成し遂げてきた日本の経験を生かしながら今後のウクライナの復興に積極的に貢献していく考えを強調しました。」
この文章を読み、びっくりしました。
「唯一の被爆国」ということばが使われているからです。ただ「唯一の」であれば全く誤りです。「唯一の」といいたのであれば、少なくとも「唯一の戦争被爆国」でなければならないはずです。
ここで指摘したいのは、そのことだけでなく「唯一の被爆国」というのであれば、「戦闘行為が続く限り『核の使用の危機が続く』。この危機を取り除く唯一の道は、直ちに停戦を実現させることです」と発言すべきだったはずだということです。停戦の実現を呼びかける意義は、もちろん「核の使用の危機をなくす」ためだけではありません。何よりも戦争によって奪われる市民のいのちを守ることが重要だからです。
平和憲法を持つ日本は、停戦を実現させるためにこそ、もっと役割を果たすべきです。
いのちとうとし
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