2022年版広島市「原爆被爆者対策事業概要」-「在外被爆者の支援」を大幅修正
毎年7月に「原爆被爆者対策事業概要」が発表されますが、2022年度版が発行されました。
昨年8月24日のブログ広島市「原爆被爆者対策事業概要」-「在外被爆者の支援」を修正: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)で、「原爆被爆者対策事業概要」の「第4編 その他」の「第4章 在外被爆者への支援」の記載内容が修正されてのですが、その修正内容は不十分なものだったことを紹介しました。
昨年の段階で、「ぜひ来年度はきちんと修正してほしい」旨、広島市の担当課に要望を出しておきました。
今年5月に入り、広島市から「令和4年(2022年)版 原爆被爆者対策事業概要のうち、
『在外被爆者支援事業等』の部分について、次のとおり修正を予定しておりますのでご査収ください。なお、黄色いマーカー部分が加筆、修正部分です。」との前書きとともに次の修正内容が送られてきました。
「平成14年(2002年)12月5日大阪高等裁判所において『日本から出国した在外被爆者に引き続き手当の受給資格がある。』との判決が下されたことから、平成15年(2003年)3月1日に、被爆者健康手帳の交付を受けた者が日本の領域を超えて居住地を移した場合には健康管理手当等の受給権は失権になるものと定めた通達(402号通達・昭和49年(1974年)7月22日)のうち、失権取扱いの定めを廃止する通知を発出するとともに改正政省令を公布・施行し、平成15年(2003年)8月から健康管理手当など諸手当の海外送金を開始した。
なお、この402号通達の失権取り扱いの定めは、平成19年(2007年)11月1日の最高裁判決において、『原爆二法の解釈を誤る違法なものであるといわざるを得ない』と判示されている。」
この修正内容は、違法な402号通達によって在外被爆者の受給資格が失権していたことが明記されていますので、私が昨年要望していた内容がほぼ盛り込まれることになりました。
しかし、2007年の最高裁判決は、ただ「解釈を誤る違法なもの」であったとしただけでなく、国に対し「賠償金の支払い」まで命じたことが非常に重要であると思っていましたので、そのことをぜひ記載してほしい旨、改めて要望しました。
広島市もそれを受け止め「『原爆二法の解釈を誤る違法なものであったといわざるを得ない』と判示され、賠償金の支払いが命じられた。」と、太字部分を追加修正することになり、「賠償金の支払いが命じられた」ことが、きちんと明記されました。
在外被爆者の権利を阻害していた402号通達が、違法とされ「賠償金を支払う」ことになったことを公的な文書で明記したものは、私の知る限り存在しません。
昨年8月24日のブログでも書きましたが、「原爆被爆者対策事業概要」は、広島県・市、長崎県・市がそれぞれ毎年発行していますが、「裁判によって」在外被爆者への援護法適用が実現、拡大したことが記載されているのは、広島市の「原爆被爆者対策事業概要」だけですので、その記載内容が正確に修正されたことは、在外被爆者問題を考えるうえで、非常に重要で意義あることだといえます。
この記載は、当然次年度以降も引き継がれることになると思いますので、公的文書である広島市の「原爆被爆者対策事業概要」に明記されて残るという意味でもありますので、本当によかったと思っています。
いのちとうとし
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