シンポジウム「クルド」
4日(土)の午後4時から「シンポジウム・クルド」が、南区の広島市留学生会館で開かれました。
友人からの情報で知った私は、このプログラムの中の「演奏と歌」に興味を持ち、参加することにしました。
午後5時前まで、別の予定が入っていましたが、プログラムでは、午後4時15分から映画が上映され、演奏と歌は午後5時30分からとなっていましたので、この時間には間に合うと会場に行きました。会場に着いたのは、午後5時過ぎだったのですが、すでに演奏と歌は、始まっていました。後でわかったことですが、せっかくの機会なので、演奏と歌を充分に聞いてほしいということで、映画の上映は中止となり、最初から演奏と歌が行われたようです。
私が会場に入ってから演奏された曲は、「労働の歌」「嫁とりの歌」そして曲の名前の紹介はありませんでしたが、「楽しい歌で締めくくります」と紹介された3曲でした。
演奏に使われた楽器は、クルド人の民族楽器3弦の楽器タンブールと胴の部分が少し丸く大きくなったバーラマです。
演奏者は、セルダン・ジャーナンさん。セルダンさんは、クルド各地をめぐり、クルド民謡・音楽を収集してきた研修者であり、民族音楽の専門家です。
私は、珍しいクルド人の歌が聞けるという安易な気持ちで参加したのですが、とんでもない勘違いをしていました。歌と演奏の後で行われたパネルディスカッションで、そのことを思い知らさることになりました。
クルド人は、約3千万人の民族ですが、その人々が住む地・国を意味するクルディスタンは、現在国家としては存在しません。1923年に結ばれた条約によって、クルド人の住む地域は、トルコ、イラク、イラン、シリアの四カ国に分割されています。
特にトルコで暮らすクルド人は、同化政策のもと、クルド人のアイディンティティが、否定され、長らく母語のクルド語もクルド音楽も禁じられてきました。
その中で、クルド語を語り伝えてきたのがデングベジュ(吟遊詩人)と呼ばれる人たちです。セダルさんが、収集し演奏し歌った歌は、このデングベジュと呼ばれる人たちによって、語り継がれたものですが、その伝えられたそれぞれの歌には、クルド人の歴史や物語があるのです。デングベジュの人たちが語り伝えることによって、クルド語そのものも伝えられてきたことになります。
セルダンさんが歌うクルド語の歌の背景には、そんな歴史があったのです。
私が聞いたわずか3曲の間(約15分)のセルダンさんの語りの中で、それを知ることができました。すでに45分間ぐらいの演奏が終わっていましたので、その間にはもっと貴重な話があったと思われます。
演奏が終わり休憩の後、広島在住の音楽評論家東琢磨さんの進行で、セルダンさんと、一緒に来日したというか、クルド人ジャーナリストのイルファン・アクタンさんの3人によるパネルディスカッションが行われました。そこで学んだことは、9日のブログで紹介します。
いのちとうとし
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