シンポジウム「クルド」その2
7日に紹介した「シンポジウム『クルド』」のつづきで、パネルディスカッションを通じて知ったことです。
トルコに住むクルド人のセルダン・ジャーナンさんとイルファン・アクタンさんは、この春京都大学のプロジェクトの活動に招かれて来日し、埼玉県の蕨市、川口市を中心とする日本のクルド・コミュニティで、フィールドワークを行っています。
この二人が、広島を訪れることになったのは、イラクのフセイン体制下で、クルド人の街ハラブジャが毒ガスの攻撃を受けた悲劇を原爆の悲劇に重ね合わせて広島を訪問したいという二人の強い希望があったからだったようです。「だったよう」というあいまいな言い方をするのは、最初の趣旨説明を聞いていないからです。
パネルディスカッションは、東さんの「セルダンさんの歌は、胸に突き刺さるものでした。音楽は、国境があってもそれを乗り越えて、自分の中に入ってくる。禁じられた言語、禁じられた歌、しかし今日の演奏を聞いて歌の持つ力が強いことを改めて感じました。そして、クルドの人たちが、広島を思ってくれていることを今日はじめて私たちは、知ることになった」という話から始まり、途中で再びセルダンさんの歌声が入りながら、音楽の持つ力についての対話が進みました。残念ながら、少し難しくてメモを取ることができませんでした。最後の会場からの「広島に来られて朝鮮学校を訪問されたそうですが、その感想は?」との問いに答えたイルファンさんの話が強く印象に残っていますので、私がメモできた限りで紹介します。
「埼玉の在日クルド人のことを調べるために来たのですが、その中で在日朝鮮人のことを知りました。それはトルコのクルドと同じだと感じたからです。自分たちの言語が自由に語れない、文化を奪われることは大変なことです。
市民は、政府の言いなりになり、手段として使われないようにしなければなりません。トルコでも、トルコ人がクルド人のことで声をあげていたら、こうならなかったのではないか。今、日本人が在日朝鮮人のことで声を上げれば、在日朝鮮人が疎外された思いをすることはないはず。国家は、強大だがそれを築いているのは、私たち市民。国家を獣にするか優しいものにするかは、私たちの手にかかっている。
埼玉県の蕨を中心に日本に住むクルド人は、2000人、しかし政治の差別的な政策の下に置かれている。30年も暮らしているのに、居住権はおろか、就労するビザすら取得できない。『いるけど居ない』ということ。それは決して運命ではない。クルド人は自分ではかえられない。変えることができるのはあなたたちです。世界はどこにでも住む権利があります。日本に住むクルド人の仕事は、ほとんど解体の仕事。それは日本人がかかわらない危険な仕事です。しかし、権利は与えられていません。声を挙げなければならない。政府だけの問題だといえるのか?それは許されるのか?ぜひ周りの人にクルドのことを話してください。他人の苦しみに想像力を働かせることです。」
クルド人は、100年前に国が分割され、特にトルコでは、言葉も歌も文化も奪われている(現在は、法律では禁止されていませんが、実質的に、禁止されたと同じ状況)のです。
セルダンさんが希望することは、「トルコでクルド語が話せて、クルド語で歌えること」です。
クルド人がトルコで自分たちの国をつくりたいと運動していることは知っていましたが、言葉も歌も文化も奪われていることや日本にも2000人ものクルド人が住んでいることなど、ほとんど知らないことでした。
クルド人の民族音楽を聞きたいと思って参加したシンポジウムでしたが、クルド問題を考えさせられただけでなく、私たちの運動のあり方、市民社会のありようを学ぶ貴重な場となりました。
いのちとうとし
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