「お得」とは、普通「安い」ことだと思うが
物の値段の上昇が続いていますね。食べ放題で600円だった行きつけのうどん店も650円に、文房具屋で購入する茶封筒も値上がりしました。電気料金もしかりです。
6年前の2016年4月から、家庭向けの電力が自由化され、中国電力(中電)もこの時から、新たな料金メニューをスタートしました。この年の1月に開催された中電主催の「電力システム改革説明会」の資料を見ると「ぐっとずっと。エネルギア」と銘打って、新しい料金メニュー、サービスのコンセプトを宣伝し、こちらに移るように呼びかけています。
全面自由化により、新電力会社が全国で作られました。石油会社、ガス会社、通信会社、住宅会社などが新電力として参入しました。「わが社の電気は再生可能エネルギーによる発電です」というのもありましたが、ほとんどは「今より安くなる」というのが宣伝文句でした。
このことを考える上での前提の話しをしておきます。同じ中電で電気を購入することにしても、これまで通りでの方法で継続している場合と、新たに打ち出した新プランによるものに移る場合があります。簡単にいえば同じ中電の中での、旧電力契約を継続するか、新電力との契約にするかということです。中電の魂胆は、他の新電力が「安さ」を売りに営業活動をしている中で、お客の中電離れを抑えようとするのが狙いでした。
だが新電力との契約の盲点は、発電燃料費の上昇や卸し電力料金、電力市場での日に日に、また1日の中でも常に動いている「卸し電力」料金が上がると、安いとしていた新電力会社の電気料金を上げざるを得ないという事態になったのです。
さあここからが本題ですが、16年4月から中電が始めた新たな料金メニュー、それによると、『「中国電力は約束します」として、「ぐっと」おトクな料金と、「ぐっと」便利なサービスをご提供することを』と書いています。料金プランも「スマートコース」、「シンプルコース」、「ナイトホリデーコース」、「電化Styleコース」とお客の生活パターンに合わせて、新たな料金メニューを売り出したのです。
共通しているのは、従来の一般的な契約である「従量電灯A」に比べて安くなるというものです。そしてポイントを提供して、貯まったポイントは地元のスーパーで使えるとか、特産品や日用雑貨に交換できるというのが、魅力だったようです。
関東地方に住んでいる人も中電と契約できるというメニューも作って、広島のマツダスタジアムで開催されるプロ野球の観戦に、東京から広島までの新幹線交通費の片道分と、観戦チケットも出すというものでした。
また前提の話しになるのですが、従来の方法での電力契約も燃料価格が上昇すれば、「原燃料費調整制度」という仕組みで、電気代金が上がってきます。実際に上がりました。しかし、こちらの方は上げてもよい上限価格に達したために、これ以上は上げてはならない値段になったのです。しかし新電力としての「ぐっとずっと。エネルギア」プランの方は、燃料価格の変動を料金に反映が続くために、「お得」といってた方が高くなったのです。
中国新聞 2022年4月28日
報道によると、『月260㌗時を使う家庭の場合、自由料金の「ぐっとずっと。」プランスマートコースは8247円と5月から80円高くなる。規制料金の従量電灯Aは8029円と変わらないため、218円の差ができた』ということでした。
この傾向は、今年3月から始まりました。もちろん従量電灯A契約も、原燃料費調整制度で月々上がってきましたが、電気料金が逆転したのです。
世界的な燃料価格の上昇に加え、ウクライナ問題、それに極端な円安で燃料価格が上がっているのは事実です。しかし新料金プランを打ち出した時、中電は「約束します」とまで大見えをしたのです。
そういえば最近、「ぐっとずっと。」の宣伝を、あまり見なくなったような気がしています。
中電に働いている人にこのことを話したら、「お得イクオール安いことではない。僕はポイントでたこ焼きセットをもらいました」言ってました。さぞかし美味しいたこ焼きが出来たことでしょうね。
この4月に中電販売事業本部が作成した「ぐっとずっと。エネルギア」の宣伝パンフの表紙タイトルは「いい感じの未来、いっしょに。」です。次期中電社長は、販売事業本部長の瀧本夏彦(たきもと なつひこ)さんが就任することになっています。お手並み拝見です。
木原省治
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