ヒロシマとベトナム(その30)
‘2022 “Chúc Tết” in ひがしひろしま
“Chúc Tết”(チュック テェット)、ベトナム語で「明けまして、おめでとうございます」、新年のご挨拶です。皆さんはどの様に正月を過ごされましたか。私は古希の誕生日を迎えた元旦はバイト勤務でしたが、2日からは市内に住む娘夫婦と孫二人、家族6名が久々に賑やかに過ごしました。
ところで正月の祝い方は国によって様々異なっていますが、ベトナムは旧暦で祝います。今年の旧正月(Tết)の元旦は2月1日(火)です。中国も旧暦で祝う「春節」、韓国では「구정」(ソルラル)、インドネシアでは「イムレック」と言われています。他にも旧暦で祝う国は台湾、シンガポール、モンゴルなどがあります。
カンボジアの「水かけ祭り」
ちょっと変わったものでは、一年に3回も新年を祝う国があります。タイやカンボジア、ラオス、ミャンマーなどでは新暦で1月1日に新年を祝い、2月に旧正月を祝い、そして4月にそれぞれの国の新年を祝います。いずれの国も元旦を迎える前の数日間かけて、一年で最も大切なイベントである「水かけ祭り」が行われます。本来は“仏像のお清めや家族のお清め”をするものだったそうですが、近年では水をかけ合って“一年の垢を浄め、邪気を流す”という「水かけ祭り」になったそうです。
回を重ねてきた「テトを祝う会」
私たちHVPF(一般社団法人 広島ベトナム平和友好協会)は、2009年から「テトを祝う会」を開催しています。当時、東広島にはベトナム籍市民が174名暮らしていました。その約3分の1の60名弱が広島大学の留学生、約100名が技能実習生、残りが家族滞在。一年で最も大切な祭日、「Tết(旧正月)」を家族や友人と一緒に祝うことができず、東広島で過ごしている“ベトナムの人たちと一緒に「テト」をお祝いしよう”と始めたのが「テトを祝う会」です。以来、回を重ね2019年まで毎年開催し、年々規模・内容とも発展してきました。ところが、一昨年と昨年、「コロナ禍」のため開催できませんでした。
特に一昨年(2020年)は200名近くの技能実習生と日本人市民100名余りの約300名の参加申込を集約し、ベトナム料理の食材から看板や飾り付け用品などイベント諸機材の購入、プログラムの印刷まで終えた1月末段階での中止は大きな痛手でした。昨年(2021年)はコロナ感染拡大「第3波」のために中止。痛手は財政的なものに留まりません。約半年前から市民団体や学生・ボランティア、技能実習生や留学生を交えた企画準備員会を重ね、技能実習生受入事業所への訪問、FMラジオ生出演や市広報、地元紙での広報。会場準備から受付、司会・進行やブース運営と企画・準備・運営まで多くの人に関わっていただき、新たな人との出会いや事業所とのつながりが築かれてきました。このサイクルが途絶してしまった損失は計り知れません。
2011年の「第3会テトを祝う会」
何よりも「コロナ禍」の下、様々な困難や課題を抱えながらも「テトを祝う会」を楽しみに待ってくれているベトナムの人たちの思いに応えられないことは、国際交流団体として本当に深刻です。
3年ぶり、市内3地域で開催
そこで今年は、 ①1カ所・大規模開催のリスクを分散し、②地域でのベトナム交流の機会をつくり、③「“ベトナムがく”しみん講座」や「ベト味教室」などの開催につなぎ、④会員とサポーター拡大の展望を広げるとの方針のもと、安芸津町(2月6日)、黒瀬町(2月20日)、八本松町(2月27日)の3地域で開催することにしました。
「テトを祝う会」を始めた2009年に174名だったベトナム人は、2021年11月末時点1,434名へと8倍強と激増しました。その殆どを技能実習生が占めています。ブラックな勤務労働条件や後を絶たない人権問題、国際水準に満たない前近代的な入管行政、脆弱な行政サービスのアウトリーチ等など、技能実習生が置かれている環境は課題山積です。それらに対する理解と解決への支援、さらには同じ地域で暮らす隣人としての関係醸成に少しでもつながればと準備を進めています。お問合せはakatau@d4.dion.ne.jpまで。
(2022年1月5日、あかたつ)
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