高校生が描いたヒロシマ「原爆の絵画展」
広島市立基町高校の創造表現コースの生徒たちが14年前より毎年、原爆被害の実相を後世に伝えるため被爆体験証言者とともに取り組んできた「原爆の絵」の絵画展が、広島国際会議場地下2階ダリアで、12月21日から1月7日(1月3日までは休館)までの会期で開催されています。
私は、休館に入る前の昨年12月28日に会場を訪れました。年末ぎりぎりということもあったのでしょう、入場者は私一人でした。
今回の展示では、昨年(2021年)7月に完成した19点を含む約60点が展示されていました。以前に見た作品も多くありましたが、力作ぞろいです。
被爆証言を語り続け近年死去された被爆者の証言をもとにした絵が、最初の方に並んでいます。一昨年10月に88歳で死去された児玉光男さん、昨年4月に84歳で亡くなられた岡田恵美子さんです。これまでの「原爆の絵画展」で何度も展示された作品ですが、お二人の思いが伝わる作品です。
児玉光男さん「プールサイドの惨劇」 岡田恵美子さん「炎の中で助けを求める女の子」
新作19点の中には、私が何度も証言を聞いた切明千枝子さんの証言を聞いた作品が、4点並んでいます。最初の一枚のタイトルは「出征兵士の見送りと別れ」です。
証言活動の中で、必ず厳しい戦争批判の証言をおこなう切明さんの証言絵らしい作品です。
「出征兵士を見送るため手作りの国旗をもって宇品港に行った時の情景です。兵士を見送っている時、突然誰かに頭を触られた。驚いて頭を上げると、目の前に軍服を着た叔父がいた。その後叔父と二度と会うことはなかった。」という説明文がついています。
次の3点は、被爆体験が題材となっています。最初は「被爆した負傷者が逃げ込んだ旧陸軍被服支廠」です。
「全身火傷で学校に戻ってくる下級生たち」「物理学室で被爆女生徒を手当てする様子」と題した作品2点が続きます。
この2作品は、いずれも暗い雰囲気に仕上がっています。被爆した下級生への思いが伝わります。
会場ではビデオが上映されています。私が見た時はちょうど、切明さんが作品の前で制作当時の様子を話している映像が流れていました。
他にも、私がよく知っている人たちの証言作品が並んでいます。清水宏士さん、箕牧智之さん。
最後の方には、新聞記事などをまとめたパネルが展示されていますが、その一枚に、昨年7月5日に行われた「原爆の絵完成披露会」の報告があります。「今年は2年生11名、3年生7名の計18名が制作に取り組み、新たに19点の原爆の絵が完成しました。生徒たちは、証言の方との関わりを経て感じた戦争の悲惨さや、平和への思いを受け継ぐことの大切さを語りました。終戦から76年がたつ今、原爆投下を過去の出来事として扱うのではなく、こうした取り組みで語りつぐことの必要性を改めて感じた。」と記されています。
間違いなくこの活動は、後輩へと継承されると思います。
この「原爆の絵画展」は、明日4日に再開され7日まで開催されていますので、一人でも多くの人に見に行ってほしいと思います。
いのちとうとし
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