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2021年12月18日 (土)

憲法判断を拒否した広島地裁判決―安保法制違憲訴訟

「集団的自衛権の行使を認めた安全保障法制は憲法違反」として、同法による自衛隊の出動差し止めと一人当たり10万円の損害賠償を求め、2016年9月に提訴した「安保法制違憲訴訟」の判決が、12月8日に広島地裁でありました。

森實将人裁判長が出した判決は、私たちの差止請求を却下し、国家賠償請求を棄却するというものでした。予想されたことですが、安全保障法制が違憲か合憲かの判断は、全く示されませんでした。

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この判決の要旨と問題点を理解していただくため、同日に発表した「原告団・弁護団共同声明」の主要部分を紹介します。

「立法府・行政府が憲法違反の安全法制を容認する以上、原告は司法権を有する裁判所に違憲立法審査権の行使を求めるほかありませんでした。

しかし、裁判所は、憲法判断することなく、原告指摘の行為には、処分性が認められないとして差止め訴訟を却下するとともに、原告らの平和的生存権は、具体的な権利として認められない、人格権侵害は社会通念上受忍すべき限度は超えてはいない、安保法制は実質的な改憲とはいえず、憲法改正決定権の侵害には認められないとして国賠請求を棄却しました。

広島地裁は、本件で違憲立法審査権を行使する必要はないとして憲法判断を回避しましたが、全国の訴訟でも同様です。裁判所は、明文の規定がないにもかかわらず、安保法制の憲法判断を避け続けています。

しかし、このような裁判所の態度は、国民にとって利益になるものとは思えません。違憲の立法をしたとしても裁判所から何も追及されない、憲法自体が軽んじられることになります。そのような状況は、権力分立という近代政治システムが破綻したといわざるを得ません。

裁判所はこのように思っているかもしれません。実際に市民に戦争被害が出るか被害が出る直前になってから訴えてください、と。しかし、戦争が始まってからでは遅すぎるのです。戦争状態になってから、裁判所が、政情に忖度することなく『違憲だから政府は戦争行為を中止するように』と判決することなどできるでしょうか。私たちは安保法制が想定した事態に陥る前に、裁判所が違憲判断することで、政治に立憲主義を取り戻すべきなのです。」

私も、この裁判では、「原告の意見陳述」をする機会がありました。そこで私が一番強く訴えたのは「憲法裁判所を持たないわが国では、憲法の違憲判断ができるのは、違憲立法審査権を持つ裁判所だけです。今回の訴訟では、必ずこの違憲立法審査権を行使して、明確な憲法判断がされることを強く求めます。」ということでした。

しかし、広島地裁の判決は、裁判所が行使できる違憲立法審査権をまたしても自ら放棄するものとなりました。

判決では、「生命身体が侵害されるおそれが具体的に生じているとはいえない」としていますが、国民の生命身体に具体的被害が生じてからでは遅いのです。

安保法制成立後、明らかに自衛隊の軍備は増強され、多国間の訓練内容は変質しています。自国防衛どころかアジア・太平洋地域ならどこでも同盟国と共に共同軍事行動が可能な体制作りが進んでいます。日本が他国の戦争に巻き込まれる危険性が限りなく高まっているということでもあります。

現に、違憲の安保法制を成立させた張本人である安倍元首相の12月1日の「台湾有事は日本の有事、すなわち日米同盟の有事」と発言しました。集団的自衛権を認めた安全保障法制が、いかに危険なものかこの一言でも明らかです

奇しくも判決日となった12月8日は、日本軍がマレー半島に上陸し、真珠湾の米軍への攻撃を開始し、アジア太平洋戦争に突入して80周年の節目の日でした。

「再び戦争への道」を歩むことがないように、当然のことですが原告団は、「当たり前の判断を求め」控訴し、闘い続けることを決意しています。

いのちとうとし

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