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2021年10月 5日 (火)

ヒロシマとベトナム(その29-1)謝罪も補償も放置されている戦争犯罪

今号から幾度か、8月10日に開催した「グエン・ドクさんと坂田雅子監督のトーク&シンポジウム」で課題になった枯葉剤裁判と補償問題について考えて見たいと思います。

枯葉剤裁判は米軍などのベトナム戦争参戦兵士が製造元を訴えたもの、韓国軍参戦兵士とその家族によるもの、そしてベトナムの枯葉剤被害者によるものが主です。いずれもモンサント社やダウ・ケミカル社など、枯葉剤を製造・販売した会社を相手にしたものです。訴訟はアメリカの裁判所、または自国の裁判所に起こされています。

この間の裁判では、訴訟取り下げ(和解)による米軍兵士への補償金支払いの例がありますが、米軍による枯葉剤作戦の最も深刻な被害の当事者であるベトナムの枯葉剤被害者の訴訟は、すべて棄却・却下(注1)されています。

ベトナム戦争終結後46年間、化学兵器である枯葉剤の製造責任と使用責任は問われず、被害者に対する謝罪も補償もされていないのが現状です。

(注1)棄却=原告の訴え・被告の反訴の全部または一部を、理由がないとして訴えを排斥すること。すなわち、当事者の主張の内容について判断し、提訴を否定することをいう。 却下=当事者の主張について審理するなど、請求の内容に立ち入ることなく訴訟を終結させること。

  ~訴訟から8年、ようやく始まった“ガーさんの裁判”~

直近の裁判は、今年(2021年)5月11日、フランス・エブリー市の刑事法院が却下したベトナム系フランス人女性チャン・ティ・トー・ガーさんの訴訟です。却下理由は、「米国政府の戦時中の行動に関わる訴訟を裁く権限を持たない」というものでした。

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世界核国で多くの人の応援と支持を受けるチャン・トー・ガーさん

ガーさんは1942年生まれの79才、ハノイ総合大学卒業後、ベトナム戦争時には解放通信社の戦場特派員でした。枯葉剤が最も多量に撒かれた1967~1968年の時期、南部最大の激戦地クチに暮らし、常に枯葉剤が散布されていたホーチミンルート最南端の地域で取材に携わっていました。3人の子どものうち一番目の娘は心臓の奇形のため17ヶ月で亡くなり、二番目の娘は血液の病気にかかり、三番目の娘は多くの皮膚病を抱えています。ガーさん自身も、2型糖尿病にかかり、血管のいたるところ、肺と心臓には小さな粒ができ、その多くの粒がカルシウム化するという病気を抱えています。

ガーさんが枯葉剤を製造したアメリカのモンサント社やダウ・ケミカル社など26社を告訴したのは2013年でした。翌年の2014年に19社に対する訴訟手続きが開始され、7年余の準備期間を経てようやく正式な裁判が始まったのは今年、2021年1月のことでした。

ところが、エブリー刑事法院は実質的な審理を行うことなく、5月11日、「管轄権がない」とガーさんの訴訟を却下しました。もちろん、ガーさんは現在、控訴を準備しています。

~被害者の正義を求めるガーさんの戦い~

枯葉剤被害者であることを証明する科学的な基礎であり、裁判を進める前提条件となる体中のダイオキシン含有量を確定するための血液検査をドイツで行うなど、ガーさんは訴訟を進めるための法律的・科学的根拠の準備に7年余り費やしました。

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(出典:『Vietnam Plus』、2015年4月16日)

検査結果であるダイオキシン濃度の数字を見たとき、ガーさんは「誰でも自分が体内にオレンジ剤の毒素をもっていると知れば心配になるのに、私は喜びました。なぜならこれから自分は、戦争の終結から40年が経つのにオレンジ剤の苦しみに日々直面しなければならない400万人の被害者の正義を求める戦いを進めるための証拠を得られたのだからです。裁判はベトナムの国や枯葉剤被害者に対する私の人生で最後のご奉公となるでしょう」(『Vietnam Plus』2015年4月16日)と語りました。

アメリカ軍が初めてベトナム中部コントゥム省に枯葉剤を散布して丸60年を迎えた今年(2021年)の8月10日、『ベトナムの声放送(VOV5)』は、「私は多くの病気にかかっています。これらの病気は枯葉剤を浴びた人の代表的な病気です。緊張したときに発症することが多かったですが、諦めずに最後までやります。」と、不屈の闘志を燃やすガーさんの肉声を伝えました。

~「枯葉剤裁判」は、私たちの課題~

ガーさんの戦いは「ベトナムの枯葉剤被害者全員の戦い」であり、1998年に広島県内で初めて「“枯葉剤被害児救援”のためのベトナム民族アンサンブル・チャリティーコンサート」開演以降、継続している枯葉剤被害児支援を取り組む私たち一般社団法人広島ベトナム平和友好協会(HVPF)の課題でもあります。

そして、それは“核も化学兵器がなく、戦争もない平和で豊かな世界”を希求するヒロシマの課題でもあると思います。

(2021年10月5日、あかたつ)

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