恵下廃棄物処分場建設と大雨土砂災害
広島市が、佐伯区湯来町恵下で進める一般廃棄物最終処分場(恵下埋立地整備事業)で出る汚染された湧出水の放出管が埋められた県道71号線で山崩れ事故が起きている現地調査に一緒に行きませんかと誘われ、12日の午前現地を訪れました。
私も以前から、恵下廃棄物処分場に反対する友人の運動に協力するため立ち木トラストに参加していましたが、今回初めて現地を訪れました。
恵下廃棄物処分場建設では、高濃度ダイオキシンが含まれた廃タイヤの燃え殻が見つかるなど様々な問題が発生していますが、今日の報告は8月中旬の集中豪雨によって発生した、道路崩落事故現場の様子です。
現場は、安佐南区沼田町戸山の県道77号線から左側(東に向かって)つながる県道71号線の山中です。
先導する車に随って進むと道路が倒れた木と土砂でふさがれて通れなくなった場所に突き当たります。
ここで全員が車を降り、流れ出た土砂の山を越えて進むと、目の前に大きく山が崩落した現場が目に入ります。
足元に気を付けながら、現場に入ります。ずいぶん高い位置から大規模な崩落が起こったことが分かります。
どこに使われていたのかははっきりしませんが、砂防のために設置された思われる三角形のブロックが、目に付きます。
最上部には、パイプがむき出しとなり浮いた状態になっているのが目に入ります。
よく見るとパイプの上部に黒いアスファルト状のものが見えます。
このパイプは、恵下埋立で発生する進出水を放流するために県道71号線に埋設された放水管です。
今回の現地視察の一番の目的は、放水管までもがむき出しになってしまった土砂災害の状況を見ることでした。
恵下埋立が計画された当初の案では、進出水を放流するため山中にトンネルを掘ることになっていたようですが、地元地権者などの反対が強く、県道71号線路面の下に管を埋設することに計画が変更されたものです。
全長3.7km(湯来側の圧送区間780m、戸山側の自然流水区間2,980m)で、工事は2019年10月から今年の1月23日まで公費約2億7千7百万円をかけて、実施されました。今回土砂崩れ現場となった場所は、最も高い部分のすぐ手前に位置するようです。
今回の崩落は、8月12,13,14日にかけ、戸山地区に降った雨量約500㎜によって起こったものですが、この雨量は2018年に坂町で降った雨量と同じぐらいだといわれています。幸いなことに、道路のガードレールなどが土砂の流下をとどめる役割を果たしたようで、下流まで押し流されることはなく、また民家前には少し距離がありましたので、人的被害はなかったようですが、濁り水による田畑への影響は大きいようです。最初のこの土砂崩れを見つけたのは私の友人ですが、川の水を見に行って、あまりにも濁っていることから、気づいたとのことでした。
この付近も花崗岩が風化しザラザラとしたオニ真砂と呼ばれる真砂土で形成されていることが、現場にたってよくわかります。原因は、色々のことが想定されますが、今後のきちんとして検証を待たなければなりません。
恵下埋立地からの進出水放流方法をめぐる話し合いの中では、何度も「この地域は過去にも土砂崩れが起きている」ことを指摘したようですが、広島市は「安全対策はきちんとしているから大丈夫です」の一点張りだったようです。
今回の放水管パイプがむき出しとなるような大規模な土砂崩れが、現実に発生したことを受けて、広島市がどう対応するのか注視しなければなりません。
私は放水管パイプのすぐそばまではいきませんでしたが、近くに行った人の話によれば、パイプにはっきりと亀裂が入っていたようです。幸いにして、恵下処分場は、まだ稼働していませんので、今回は汚水漏れなどが起きることはありませんでしたが、稼働中だったことを想像すると大変なことになっていたことは十分考えられます。
広島市には、一日も早い復旧とともに、今回の大規模土砂災害の原因をきちんと究明し、計画の抜本的な見直しを含めた再検討が必要だと強く感じた現地調査でした。
いのちとうとし
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