サッカースタジアム建設予定地からの出土品の展示‐広島市水道局玄関ロビー
現在進められているサッカースタジアム建設予定地での遺構調査で発掘された出土品が、唯一公開で展示されている場所があります。それは、広島市水道局(中区基町9番32号)の正面玄関ロビーです。
私がこの展示を知ったのは、たまたま労働組合に用事があって訪れた7月19日です。といっても訪れた時、すぐに気がついたわけではありません。建物には、二つある入口の東側から入ったため、ロビーの展示には気がつきませんでした。気付いたのは、帰りがけ玄関ロビーの外側に貼りだされた「サッカースタジアム出土水道管 1階ロビー展示中」の表示を見たからです。まさかの「サッカースタジアム建設予定地からの出土品」との出会いですから、駐輪場に改めて自転車を置き、ロビーに引き返しました。
後に水道局企画総務課広報広聴係に問い合わせたところ、「展示はこの日からスタートしました」とのことでした。まさかの巡り会わせです。
今日は、西側にある水道局の正面玄関から建物に入ったところから紹介します。正面玄関を入ると、案内板が目に入ります。
「展示スペースは右手奥です!」と書かれていますので、右手に目を移します。「サッカースタジアム建設予定地からの出土品」のコーナーが作られています。
出土した水道管は、一番奥のガラスの壁際の床の上に置かれています。左側にある説明版によれば、長さは4.5Mほどで口径(内側の径)は、10cmです。説明文には、この水道管が「明治時代の水道管」であること、製造者は「D.Y.スチュワード社(イギリス)」で、1896年製で旧陸軍の★の刻印があることなどが記載されていますので、それを確認することにしました。
旧陸軍の★の刻印は、見つけやすいように「★軍用刻印」と書いた矢印型の表示板が付けられています。
その左側の水道管の接合部の少し太くなったところに製造者を表す「D.Y.S&C」の文字が刻まれています。
次に製造年を表示した「1896」の文字を探したのですが、見つけることができません。この「1896」の刻印は、製造者を表す「D.Y.S&C」の裏側にあるため、水道管の下側になりますので、目視することはできないのです。ここでは、説明版にあった写真を掲示します。
その写真には、はっきりと「1896」の文字が確認できます。
右側には、出土した時の現地の写真や運搬の様子などを紹介する写真も掲示されていますので、ぜひ一度訪れるとよいと思います。
この展示を見ながら少し疑問が湧いてきました。広島市が、サッカースタジアム建設予定地発掘遺構の現地説明会を開いたのは、7月24日ですから、すでにこの地期には、この水道管の遺構は、撤去されていたということです。つまり、現状復旧できないような手順で発掘作業が進められていたことになります。
水道局によれば、「文化財振興課からの連絡を受けて、とりあえずこの場所に保存することにしました」ということですから、もし水道局が保存を決めなければどうなったのでしょうか。そう考えると、この水道管以外の他の出土品はどう扱われているのだろうかという疑問が湧いてきます。
水道局によれば「今後の展示方法につきましては、展示場所、運搬や設置の方法・費用など検討すべき事項が多くあり、現在のところ、未定としております。」ということですので、この貴重な水道管も今後どう扱われるのかは不明です。
ところで、説明文には「明治時代の水道管」と簡単に記載されています。確かに明治時代の水道管には間違いないのですが、この水道管は、広島市に上水道が敷設された歴史を示す重要な生き証人でもあるのです。その理由は、次回改めて詳しく紹介したいと思います。
いのちとうとし
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