8月6日の朝のこと
76年目の「8・6ヒロシマの日」が終りました。広島市主催の平和式典は、昨年に引き続き人数制限で開催されましたが、私は被爆者遺族として参列させてもらいました。
初めて「ナマ」で観た菅義偉首相、資料館の下付近で車を降り、歩いて慰霊碑近くの席まで進みました。幅の広いおデコ(ひたい)付近が、汗と太陽の光線で光っていました。周りには警備と関係者が20人近く付いていて、その人たちが大きく強そうなので、ますます彼は小さく見えました。
8時15分の鐘の音に合わせて黙とう、市長の平和宣言、首相、県知事のあいさつ、子ども代表の平和への誓い、国連グテーレス事務総長のビデオメッセージというように進みました。首相が「原爆」を「原発」と、「広島」を「福島」と言い始めた時、もちろん読み直したのですが、「心ここに在らず」を直観しました。
そして究極は、百数十字を読み飛ばしたところです。式典参列者には市長の平和宣言や市議会議長の式辞は前もって活字になった物が配布されているのですが、県知事のあいさつも含め首相あいさつは渡されません。だから飛ばしても、会場がどよめくようなことはありませんでした。NHKのテレビ中継では、あいさつを字幕スーパーで出していたようで、少し停まったようですね。
首相官邸ホームページより
参列者の拍手の大きさで、あいさつの評価が表れます。首相あいさつが終わったところで、僕の席の前あたりの方が拍手されましたが、他の人がしないので少し戸惑ったような感じでおられました。
拍手の順番でいえば、1番は子ども代表の平和への誓い、2番は県知事のあいさつ、3番は広島市長、4番は首相でしたね。
首相が読み飛ばしたのは、あいさつ文の糊付けが理由で、全て官邸の責任とされていますが、読んでいてツジツマが合わないと考えれば、書かれていることよりも自分の考えで言い替えればよいと思うのです。「糊付けが取れないので、ちょっと待ってください」とでも言えば、評価はグーンと上り支持率も上昇するはずでしょうけどね。それが人間味だと思うのですが。
この人は核兵器廃絶には興味が無いし、考えてもいないのでしょうね。否、逆に日本を核兵器の持てる国にして、米日韓を一体化した軍事体制の要とすることを考えているのでしょうか。書いてあることを読むだけだとしても、思ってもいないことを語るのは相当なストレスになるでしょう。
式典を終えて、中国電力本店前に向かいました。例年行われている「反原発中国電力前集会」に出席して、最初のあいさつをさせてもらいました。式典での原爆・原発、広島・福島の総理失策の話しをしたら、参加者から笑い声が起こり「受け」ました。
中国電力前集会は、コロナ禍の中で参加者は少なくなっていますが、「8月6日の朝は中電前」というのが定着していて、全国から参加していただけるのは、本当に嬉しいことです。知り合いと「元気ー」「どうしてるー」と言葉を交わしあいました。これが、私を「頑張ろう」という気持ちにさせてくれるワクチンにもなります。
広島県内も8月4日からまん延防止措置が指示されていますが、福島第一原発周辺地域は2011年3月11日の夕方から、緊急事態宣言が発令され現在も継続中ですし、解除の見通しも無いのです。何が「復興五輪」、「アンダーコントロール」ですか。
木原省治
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