ことしも8・15 反戦・原爆詩を朗読する市民のつどい
毎年8月15日に開催される「反戦・原爆詩を朗読する市民のつどい」に参加しました。今年はタイトルの頭に「ことしも8・15」と、「も」の字が入っています。理由がありました。この「朗読会」がスタートしたのは、2002年。原爆ドーム横に建つ「原民喜の詩碑」前だったそうです。今年は20周年の記念「朗読会」となりました。
広島文学資料保全の会・代表の土屋時子さんの司会でスタート。最初に全ての戦争犠牲者に対し黙とうをささげます。
第1部は、朗読会です。
白井朝香さんのシターの演奏と共に原民喜文学の研究・継承を進める「花幻忌の会」のみなさんによる原民喜の作品朗読。
今年は、原民喜没後70周年です。朗読された詩は、原民喜詩碑に刻まれている「碑銘」と「かけがえのないもの」、「永遠(とわ)のみどり」の3作品です。
「永遠のみどり」は、2度朗読され、2回目は参加者全員が唱和しました。
次の朗読は、文学資料保存会のみなさん他による「桜隊―広島に散った俳優たち」の朗読でした。
9人の登壇者によって、9人の隊員一人ひとりの経歴が紹介されました。
第2部は、作家堀川恵子さんの講演です。元広島テレビの記者。たくさんの著書がありますが、私の印象に残っているのは「チンチン電車と女学生」「原爆供養塔―忘れられた遺骨の70年」の2冊です。どうしても原爆に関わる作品に関心が深まります。
演題は、今夏発刊された本のタイトル「暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ」です。
「アメリカの文書を調べていると『広島に原爆を投下した大きな理由に重要な軍隊の乗船(聞き間違いかも知れません)基地があったこと』と知ったことから、宇品の暁部隊のことを調べ始めました。2010年ぐらいから調べ始めたのですが、宇品に行って見ると『船員や工員ら軍属をふくめると三十万人を抱える大所帯』であったにもかかわらず、『凱旋館記念碑』の石碑が建っているだけ。」ここから始まった講演は、軍都廣島の成り立ちなど、その後取材を通じて知り得たことが、次々と出てきます。特に印象に残った言葉です。「戦争は起き始めたら止めることはできない。その前に止めなければならない。」「戦争に進む中で数字を改ざんしていった」「太平洋戦争が始まる前と今の状況は同じです。」そして陸軍被服支廠の事に触れながら「目に見えないものは記憶から無くなっていく」などです。
特に関心を持ったのは「兵員や兵器、糧秣を輸送するための船は、すべて民間の船舶。もちろん操船していた人たちも民間人。6万人もの犠牲が出ていますが、民間人ということで何の補償もされていません。」の話。この「何の補償もされていない」は、後の私の質問の答えで「戦傷病者戦没者遺族等援護法によって補償されることになったのですが、申請主義の為多くの人が受給できていません」と修正されました。私が質問したのは「国家補償の被爆者援護法を」の運動の中で少し学んだことがあったからです。
この「船員」の犠牲については、講演ではこの問題が主題ではありませんでした(といっても可奈ら繰り返し話が出て来たので、堀川さんも関心を持っておられるテーマ)ので、詳しく紹介することができなかったと思いますので、「全日本海員組合発行の『海なお深く 徴用された船員の悲劇』」というこの問題を扱った本を所有していますので、もう少し調べてみたいと思います。
「『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』をきちんと読んでみなければ」と思わされた講演でした。
8月6日から8月15日をつなぐ、この企画ずっと続けばと思います。
いのちとうとし
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