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2021年8月24日 (火)

広島市「原爆被爆者対策事業概要」-「在外被爆者の支援」を修正

広島県・市、長崎県・市は、毎年7月に被爆者支援事業をまとめた「原爆被爆者対策事業概要」を冊子にまとめ、発表します。その中には、毎年厚生労働省が発表する前年度末(その年の3月31日)現在の全国の都道府県別の被爆者健康手帳所持者数が、掲載されていますので、いつも参考にしています。都道府県別といいましたが、広島県と長崎県は、広島市、長崎市の所持者数とそれ以外の県内の所持者数が掲載されています。

 年度ごとの被爆者健康手帳取得者数も掲載されていますので、例えば、2020年度末現在の被爆者健康手帳取得者は、127,755人で前年より8,927人少なくなっていることが分かります。前年に比較して6.5%少なくなっています。といっても、この人数が2020年度中に亡くなった被爆者の数ということは言えません。それは、今でも「被爆者健康手帳の交付」を申請し、新たに取得する人がいるからです。例えば、今年度でいえば、黒い雨訴訟で勝利した原告82名がそうです。

この「原爆被爆者対策事業概要」には、広島市が扱う被爆者健康手帳交付状況が、掲載されています。それによれば、この一年間で2,645人の死亡届が出されていることが分かります。前年末現在の被爆者健康手帳所持者は、47,632人ですので、この人数と比較すると死亡率は、5.6%ということになります。ここまで書いて、広島市に「厚労省が発表する中に、死亡者数が分かるものがありますか」という問い合わせの答えが返ってきました。「調べてみたが、そういう数字は発表されていない」ということでした。

それもそうだなとある意味の納得をしました。あくまでも推測ですが、厚労省は、各自治体には、年度末現在の「被爆者健康手帳所持者数」しか報告を求めていないと思われます。厚労省にとっては、これで充分ということだと思います。

私が、この数字にこだわるのは、実際に一年間に亡くなった人数でもないにもかかわらず、毎年マスコミは7月になると「今年の被爆者健康手帳所持者は、〇〇人で、前年から〇〇人減少しました」と報道し、あたかもその人数が亡くなった被爆者の人数ととられかねない報道をしているからです。

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前書きが長くなりました。今日紹介したかったのは、「原爆被爆者対策事業概要」の「第4編 その他」の「第4章 在外被爆者への支援」の記載内容が、修正されていることです。、昨年の11月、このブログでも2度にわたって「原爆資料館『海外で暮らす被爆者』のパネルの説明文が修正された」ことを紹介しました。その時は、「原爆被爆者対策事業概要」の修正については、話し合っていなかったのですが、今回修正は、原爆資料館と同じように「昭和42年(1967年)韓国原爆被害者協会の発足をはじめ、在外被爆者への援護を求める運動が大きくなり、司法に訴える動きも相次いだ。」の文章が付け加えられました。

修正は行われたのですが、これでは不十分なのです。当時広島市と原爆資料館との話し合いで強調したことは、「402号通達という違法な通達によって、長く在外被爆者に被爆者援護法の適用が行われなかった」ことでした。それは、2007年11月広島三菱徴用工裁判の最高裁判決で「『被爆者』が日本国外に居住地を移した場合に受給権が失権するとした402号通達の失権取り扱いの定めは、原爆2法の解釈を誤る違法なものだった。402号通達の失権取り扱いの定めは、原爆2法を統合する形で制定された被爆者援護法にも反することは明らかだ。」とし「402号通達について、『誤った法解釈で手当を支給しなかったのは、国家賠償法上も違法』と指摘し、精神的損害の慰謝料を認めた」ことで明らかなことだからです。

当時「パネルは字数が限られているので、そこまで書くことはできません」ということでしたので、部分的な修正で了解しました。しかし「原爆被爆者対策事業概要」には、字数の制限があるわけではないはずです。修正するのであれば、「402号通達」についても、きちんと記述すべきだったと思います。改めて広島市と話し合いたいと思います。

と広島市の対応を批判的に書きましたが、「裁判によって」在外被爆者への援護法適用が実現、拡大したことを「原爆被爆者対策事業概要」に記載しているのは、広島市だけです。

広島県、長崎県・市の「原爆被爆者対策事業概要」には、施策の変遷だけが書かれているのみで、在外被爆者裁判のことなど一言も記載されていません。

ですから、広島市の「在外被爆者への支援」の記載は貴重なのです。公文書ですので、後まで残ります。ですから広島市の「原爆被爆者対策事業概要」には、どうしても「違法な402号通達」のことを書き残してほしいのです。

 いのちとうとし

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