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2021年7月 1日 (木)

池袋暴走事件 (2) ――記憶の検証は、事実に基づいて!――

池袋暴走事件 (2)

――記憶の検証は、事実に基づいて!――

 

前回は、私たちの「記憶」が余りあてにならないものであること、しかもほんのちょっとした操作でその内容を変えることが可能であるという研究をしたエリザベス・ロフタス教授を紹介しました。

彼女の研究の概要は、TEDトークのビデオとして観ることができます。日本語の字幕付きです。

800pxelizabeth_loftustam_9july_2011

エリザベス・ロフタス教授

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Elizabeth_Loftus-TAM_9-July_2011.JPG

BDEngler, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

その他に、彼女の研究内容紹介だけでなく、解説まで付いた分り易い記事が、President Onlineに掲載されています。タイトルは『なぜ人は都合よく"記憶"を書き換えるのか』で、著者は神戸大学大学院の増本康平准教授です。

ここでは、増本准教授の記事を引用して、ロフタス教授の主張が良く分る実験を見てみたいと思います。

「アメリカ海軍の訓練で戦争捕虜となることを経験するものがあります。30分の間、尋問者から一人で尋問を受けるのですが、訓練の一環とはいえ、尋問者の質問に答えなかったり、要求に従っているように見えない場合は、顔面を叩かれたり、腹部にパンチを受けたり、無理な体勢を強いられたりと身体的懲罰をも伴います。

尋問の間は尋問者の目をみることが求められ、尋問される側は確実に尋問者の顔を眺めることになります。尋問が終わった後、独房に隔離され、顔写真を渡され写真を見るように指示を受けます。写真をみている間に、「尋問者があなたに食べ物を与えましたか?」など尋問に関する質問を行います。渡された写真は尋問者とは違う人物のものです。

その後、尋問者の写真を選択するよう求められると、9割の人は後でみせられた偽物の写真を選びました。偽の情報や特定の行動へと誘導するプロパガンダに対して抵抗できるよう、訓練を受けた兵士でさえも、虚偽の情報に晒されることで誤った記憶を簡単に作り出すのです。」

極端な形で整理すると、「私の記憶は100パーセント正しい」と自分自身では「確信」していても、その記憶自体が書き換えられている可能性がある、ということです。前回、取り上げた松永さんの質問は、まさにこの点を問題視していたのです。

記憶自体の信憑性を問題にしなくてはならないとすると、現場で飯塚被告の車に追い抜かれたときに「ブレーキライトは点いていなかった」ことをその場で見ていた3人の証人の「記憶」も、論理的には同様の検証が必要になります。常識では、この3人の記憶を疑う余地はないのですが、より客観的な判断をするためには、やはり記憶の専門家に登場して貰うのが筋でしょう。裁判のどこかの段階でこのような手続きが取られると良いのですが――。

そしてロフタス教授も言っているように、真実を知るためには記憶に頼るのではなく、事実に語らしめるというのが鉄則です。

しかし法律を元にした裁判という場で、「事実に語らしめる」ことは必ずしも簡単には行きません。例えばコンビニ強盗が、包丁を手にして店員を脅し現金を持って逃げるビデオが残っていれば問題はありません。現実には、何かの事件があっても、それだけの情報が残っているとは限らないからです。

裁判制度の基本的な考え方は、人を「有罪」であると判定するためには、被告が「犯人」であるという完璧な証拠が必要だということです。「推定無罪」という言葉が示しているのは、「そのような完璧な証拠が揃わない限り被告は無罪になる」、という原則です。この点は、憲法38条の3項が保証しています。

第38条

3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

日本語としては、「有罪とされない」と書くべきでしょうが、文意から、自白だけでは「有罪にはならない」のです。

加えて被告人本人が「自分は無罪だ」と主張している場合には、完璧な証拠を揃える以外、「有罪」という結論にはならないのです。

それほど厳しい基準を満たす形で事実を積み重ねることで、飯塚被告の有罪を証明できるのか、が問題なのですが、そこで頭に浮かぶのが、2009年から2010年にかけて大きく報道されたトヨタ車の大規模リコールと、一連の裁判です。詳しくは、ウイキペディアの記事をお読み頂きたいのですが、その結論部分をウイキから引用しておきましょう。

「アメリカ合衆国でトヨタ車を運転中に発生した急加速事故について、事故の原因がトヨタ車にあると主張された。これらの事故と原因に関する主張などについて米国で大々的に報道された。この騒動を受けて、トヨタは大規模リコールを実施した。

トヨタはビラー弁護士の訴訟をはじめ、138件の集団訴訟、事故の遺族など96件の民事訴訟の他に、カリフォルニア州オレンジ郡検事局からも起訴され、トヨタ社は米国議会での公聴会での情報提供を要請された。事故の原因調査はアメリカ合衆国運輸省が主導した。このような一連の騒動は、「トヨタ・バッシング」、「トヨタ戦争」とも呼ばれた。

2011年2月8日、急加速問題の原因調査をしていた米運輸省・米運輸省高速道路交通安全局(英語版) (NHTSA)・NASAによる最終報告で、トヨタ車に器械的な不具合はあったものの、電子制御装置に欠陥はなく、急発進事故のほとんどが運転手のミスとして発表された。」

もちろん、トヨタとしては電子制御装置に欠陥のないことを主張していました。それは、池袋の暴走事故と同じなのですが、トヨタだけではなく、米運輸省・米運輸省高速道路交通安全局 (NHTSA)とNASAの調査で、欠陥のないことが保証されたのですから、これは「事実」の認定として重みをもっています。

池袋の場合も、同じような「第三者」による評価で同様の結果が出れば、飯塚被告の踏み間違い、という結論になるはずです。しかも、池袋の場合はブレーキやアクセルには機械的問題はないという点まで確認されているのですから、「被告は有罪」という結論からは逃れられそうもありません。

しかし、アメリカのNHTSAとNASAの調査結果では説明の付かない事例がその後も多く報告されていますし、電子制御装置には欠陥があったという報告さえあるのです。次回は、いくつかの事例を取り上げたいと思います。

 [2021/7/1 イライザ]

 

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コメント

暴走事件ですね。事故では、無いですね。映画だと?どうしますか。どこかに、ぶつかって、停止ですか。走行中は、ギアは、バック、パーキング?には、入りません・・・・?。パーキングブレーキは、弱いものですが。ドライブ位置から、ニュートラルへ。そうしますと、加速は、しません。惰性で、進むでしょう。数秒以上の、時間は、ありました。運転の過信、と、いうよりも、対応能力の、欠如・でしょうか。技官ならば、とっさの、判断を、してください。ブレーキが、効かない?では、次の行動を、考えて、ください。私ですか?下衆の後千恵ですか。私は、自分の運転を、考えていないと、いけません・です。幅広い車。足元も、広いです。右足を、まっすぐ、伸ばしても、アクセルペダルには、行きません?前輪駆動だと、前足元。後輪駆動より、狭く、感じます。まっすぐに、足を、伸ばすと、アクセルペダルに、触れます。ブレーキペダルは、より左に、位置しています。右足を、まっすぐ、伸ばしても、ブレーキペダルには、触れません。車種に、よって、いろいろですが。右足を、やや、左へ、もっていくと、ブレーキペダルに、触れます。咄嗟には、そんなことは、できません。まっすぐ、前に、伸ばすと、足は、アクセルペダルでしょう。私の論は、アクセルペダル、ブレーキペダル。踏み間違いを、前提として、しています。

車載EDR機器、装備搭載・車種と、聞きます。

「60sp」様

コメント有り難う御座いました。

一つ一つ、「事実を確定しながら真実に近付く」と書くと簡単ですが、いざ実行するとなると難しいですね。

特に、目には見えない電子装置の場合、難しさは何倍にもなりますので。EDRそのものの信頼度も問題にする必要がありますし。

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