第6次エネルギー基本計画の議論
経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(以下、分科会)で行われている第6エネルギー基本計画の議論、その詳細は伝わってきませんが、まるで福島原発事故など無かったかのように、原発推進の大合唱が行われていることに、愕然とすると同時に怒りが起きてきます。
そのキッカケになったのは昨年10月26日、菅義偉首相が国会の所信表明で、「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ(カーボンニュートラルCN)にする」と演説したことです。そしてこれを後押ししたのが、12月25日に政府が発表した「グリーン成長戦略」だと思います。非常に巧妙な作戦で「原発回帰」を打ち出したと思います。
「二酸化炭素を出さない原発」という、原発推進派が何十年も前に云ってた愚かで常識外れの話しが、またもや云われ出したという感じです。
この度のエネルギー基本計画は、正式には夏ごろに閣議決定するとされていますが、6月11日から英国で開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)で明らかにされるだろうと言われています。日本を除くG7の全てが、目標を示して石炭火力全廃方針を打ち出しているのに、未だに利用継続の姿勢を出し続ける日本政府、これも原発推進の言い訳にされています。
福島原発事故後、その翌年に改正された原子炉等規制法は、原発を運転することができる期間を40年という「40年運転ルール」を決めました。特別な点検をして原子力規制委員会の認可を受け、関係自治体が同意すれば、1回に限り最大20年延長を認めるとなっていますが、分科会では「20年でも30年でも延長すればいい」という発言が行われているのです。
福島原発事故後、民主党政権時の革新的エネルギー・環境戦略でも、14年の第4次、17年の第5次エネルギー基本計画でも、「可能な限り原発依存度を低減する」、「原則として新増設は行わない」が明記されていました。しかしこの度は、このまま私たちが黙っていると、それらが全て崩されるだろうと予想されています。
そして原発と再生可能エネルギーを含めて、「二酸化炭素を出さない電源」とするというフテブテしさです。
新設原発計画である上関原発の問題のある上関町では、3月17日の町議会で柏原重海(かしわばら しげみ)町長は、「エネルギー基本計画で原発の位置づけがどうなるのかを注視したい。国策として進めるなら地元として推進していく」と答弁しました。
しかしその理由を、「原発そのものを建設することが目的ではなく、住民の安定した暮らしのための財源確保が目的。原発建設が絶対ではない」と説明しています。素直というか本音が、この人らしいです。
5月20日、この動きに呼応したように中国電力が上関原発のボーリング調査をするために、山口県に対しその海域の使用許可を得る届けを行ったという連絡がありました。
木原省治
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