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2021年5月20日 (木)

ヒロシマとベトナム(その24)

「史上最良の日越関係」

4月27日、茂木外相とベトナムのブイ・タイン・ソン外相の電話会談行われ、「史上最良の日越関係をさらに力強く発展させていくことで一致した」と「VIETOJO」が報じていました。

下の写真の中央がソン外相ですが、左端に懐かしい顔を見つけました。

Photo_20210519092401

「VIETJO」4月28日、中央がブイ・タイ・ソン外相

HVPF設立前から交流を重ねている友人、元在日ベトナム大使館の公使で現在はベトナム外務省のアジア局長を務めているグエン・チュオン・ソンさんです。2008年、当時の駐日大使、グエン・フー・ビン特命全権大使の秘書官(二等書記官)として、ベトナム大使として初めての広島県訪問・東広島でのイベント参加の調整してくださったのがソンさんです。以来、十数年、公私とも交誼いただいています。

日越外相会談の報道を通し、ソン局長との思い出とともに相親日的なベトナム人、ベトナム理解を深める日本人・・・と、経済活動だけでなく教育・学術・文化活動や民間交流を含め、「アジアで最も緊密な関係」が築かれていることをあらためて実感しています。

 

日本とベトナムの若者から学ぶ

ベトナムとの交流イベントや講座の企画に学生会員や若い会員、ベトナム留学生などに参画してもらっていますが、「赤木さんたちの年代ではベトナム戦争や枯葉剤かも知れないが、今の若者には“気軽に行ける南国の楽園”だったり、“安く・美味しく・楽しくバックパッカーできる国”」、「暗く重い過去に縛られず、もっと明るく今風に」、「気軽に参加でき、そこから深まりと広がりへと進んでいけるような企画を」という意見とともに様々なアイディアを出してくれます。

留学生や技能実習生からも、「ベトナム戦争とか枯葉剤とか、厳しく不幸だった過去でなく、発展し、明るく頑張っている今のベトナムに目を向けて欲しい」、「技能実習生の多くが苦労しているが、皆がみな惨めな境遇で苦しんでいるだけではなく、目標を持って明るく元気に頑張ってもいる。暗く惨めな面だけを見ないで欲しい」という声を聞きます。

“現状の事実に立って、過去にではなく未来に向かって歩もう”という「未来志向」の発想です。こうした、日本の若者の意見もベトナムの若者の声も、もっともです。それは、決して“過去を忘却するのではなく、過去の歴史の上に立って”というものです。

若い人たちとのディスカッションを通して、古希を目前に控え「老人」の域に達した自分は、ややもすると過去のみに囚われ、現在の姿が見えなくなり、したがって未来を描けなくなっているのではないかと気づかされます。過去・現在・未来を貫いて捉えるという歴史的思考が大切だと。

私が初めてベトナムを訪問した1991年は、ベトナムがそれまでのソ連を基軸とする外交から全方位外交に転換した年でした。その時に掲げられたスローガンが「過去を閉ざし未来を指向」というもので、95年にはアメリカとの国交を正常化します。その5年後、ベトナムを訪れたクリントン大統領が、「われわれは過去を変えることはできないが、未来を変えることはできる」と、未来志向の建設的な米越関係の構築を訴えました。

 

歴史的な思考から導かれる「未来志向」

その会見の席でレ・カー・フィェウ共産党書記長は、「過去は変えられないが、その本質を正しく理解することが重要だ」として、「私たちにとっては、過去は、暗い、悲しい不幸な歴史の一頁だけであるわけではありません。私たちにとって、過去は根であり、土台であり、現在と未来に向けての力でもあるのです。このような過去から、われわれは教訓を引き出し、過去に対する正しい責任を持たなければならないのです。」と述べています。

ここに、「未来志向」の意味が明確に述べられています。もう一人、長くベトナム歴史学会事務局長を担われ、現在、国会議員として活躍されているズオン・チュン・クオック議員の言葉を紹介します。

Photo_20210519092402

ズオン・チュン・クオック議員

20世紀だけでも、ベトナムは多くの国から侵略され、長年にわたって国を失い、幾多の戦争を経てきた。もし過去に囚われていると私たちベトナムは、誰と共生していけばいいのだろうか。

ベトナムは過去を忘れないが、いつも未来に向かわなければならない。なすべきことは、その過去の中に元々あった事実をそのまま保ちながら、共に新たな架橋をして乗り越え、現在の利益のために、深淵を貴重な教訓として見ることである。」

よく、日韓関係や日中問題を引き合いに、「ベトナムは、過去のことには拘らず、未来を優先している」と言う人たちがいます。そのような人は、自分たちに都合の悪い歴史を無かったものにしようという人たちだと思います。安倍政権に続く菅政権も、嘘・誤魔化し・強弁・説明責任忌避、隠蔽・改竄体質を引き継いだ「未来を指向できない政権」です。

「未来志向」という意味を考えながら、8月10日に予定している「枯葉剤60年~あらためて問う!エージェントオレンジ~」の準備を進めています。

最後に二人の心に響く言葉の一節を紹介し、今号を閉じたいと思います。1983年に広島を訪れたローマ法王ヨハネ・パウロ二世の「平和アピール」:「過去を振り返ることは、将来に対する責任をになうことです。」 1985年、ヴァイツゼッカー大統領のドイツ連邦議会での「敗戦40周年記念演説」:「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。」(「荒れ野の40年」)

(2021年5月20日、あかたつ)

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