「広島県原爆被害者団体協議会」発足65周年
65年前の今日5月27日、広島市基町の広島YMCA講堂に、県内各地の被爆者団体から代表など約120名が結集し、広島県原爆被害者団体協議会(以下「県被団協」という)の結成総会が開催されました。この結成総会には、長崎八名、愛媛一名の代表の参加がありました。
この結成は、前年に開催された第1回原水爆禁止世界大会の機に、県内各地に被爆者団体が結成され、「一刻も早く被爆者組織を立ち上げたい」との被爆者の気持ちを結集するために作られました。
結成総会で、確認された12項からなる規約の第3項では、県被団協の目的を「原爆被害者どうしが助けあい、励ましあって、医療、生活その他の問題を解決するための運動を行います。また、原爆被害を、全国及び世界に訴えるとともに、三度、この被害を受けて苦しむ人の出ないように、原水爆禁止運動を行います」としています。
原水禁世界大会の大会宣言で確認された「被爆者救援と原水爆禁止運動を推進する」ことが明示され、被爆者が運動の軸となることも宣言されたのです。県被団協は、この目的に沿い、私たちの先頭に立って、運動を続けてこられました。
広島県原爆被害者団体協議会結成総会(「ヒロシマ40年森滝日記の証言」より)
この県被団協の結成に大きな役割を果たしたのは、同年の3月18日に広島市立千田小学校に地域の被害者の会代表約300人が集まり開催された「広島県原爆被害者大会」です。その会場は、お互い見ず知らずの被爆者だったにもかかわらず、手を取り合い、肩を抱き合って「お互いによく我慢してここまで生きてきたものだ」と強い共感を生み出す場となったそうです。そしてこの大会で森瀧市郎先生が起草された大会宣言「世界への挨拶」が採択されました。その一部を紹介します。
「私たちは今日ここに声を合わせて高らかに全世界に訴えます。人類は私たちの犠牲と苦難をまた再び繰り返してはいけません。(中略)原爆後10年間、放射能の病の恐ろしさに直面してきた私たち。今年になって明らかにされただけでも早くも4名の人たちが放射能の病で死んでいった姿をまのあたりに見た私たちが、空気や水を放射能で汚染する水爆実験をどうして黙って見ておられましょうか。私たちはもはや、いかなる力の前にも黙っていない覚悟です。」
この大会では、国家補償の精神に立つ「原・水爆被害者援護法(仮称)の制定を目指す行動決議も行われました。
ですから、この広島県原爆被害者大会と県被団協結成総会は、一つの大きな流れで結ばれていることになりますので、この大会も絶対に忘れてはならないことです。
この県被団協の結成が大きな力となり、この年(1956年)の8月9日から長崎で開催された第2回原水爆禁止世界大会の二日目の8月10日に、全国からの代表800名が参加し、長崎国際文化会館で「日本原水爆被害者団体協議会」が結成されました。広島から全国組織の結成へという流れは、原水禁組織が結成された時と同じ道筋をたどっています。
被爆76年目を迎え、被爆者が高齢化し、最近、残念なことですが、全国で、県内で、被爆者団体が「解散することになった」というニュースが届きます。
広島県被団協の結成65周年を迎えた今日、改めて被爆者や被爆者団体が反核平和運動に大きな役割を果たした歴史を振り返り学ぶことは、私たちにとって大切なことにように思います。
いのちとうとし
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