パレスチナに平和を!原爆ドーム前スタンディング
イスラエルとパレスチナ・ガザ地区の武装組織の停戦合意が発効した5月21日の夕方午後6時から、広島市立大学の田浪亜央江准教授の呼びかけで、「パレスチナに平和を!」とアピールするスタンディンが行われました。原爆ドーム前のこの行動に賛同した日本人、パレスチナ自治区やシリア出身者の在日外国人などなど約30人が参加しました。
最初に呼びかけ人の田浪さんが「なぜこの行動を呼びかけたのか」を説明するあいさつ。その主な内容は、下記掲載した当日のアピールを読んでいただきたいのですが、私が印象に残ったことは次の紹介。「ガザ地区の広さは、この広島市の安佐北区の広さと同じです。そこに暮らす人は、約200万人。そのことを想像してほしいと思います。」帰宅して調べると安佐北区の面積は、353㎢で人口は、約14万4千人、ガザ地区の面積は、360㎢です。ちなみに、広島県の人口は約278万人、広島市は約120万人(2021年4月現在)ですから、ガザ地区の人口密度がわかると思います。
田浪さんのアピールの後、参加者からの一言リレートーク。メモなしで参加しましたので、残念ながらここで紹介することが出来ません。最後に私も一言。「かつて、原水禁世界大会にはパレスチナの代表が参加していたことを思い出します。ガザで多くの市民が命を奪われている事態の中で何ができるのかと考えていた時、この行動呼びかけがあり、参加しました。ヒロシマが少しでも声を上げる事が大切だと思います。」
少し長いのですが、パレスチナ問題の本質や歴史を知るためにも、ぜひ読んだ欲しいと思いますので、アピール文を全文を紹介します。
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パレスチナに平和を! 原爆ドーム前スタンディング アピール
イスラエルとパレスチナ・ガザ地区の武装組織の停戦合意が発効したと伝えられています。
ガザの人々は、連日の凄まじい空爆の恐怖からは、とりあえず逃れられるでしょう。ガザの人道支援や復興が叫ばれ、日本も協力を謳うことでしょう。
しかしこのままでは、「停戦」は新たな攻撃へのカウントダウンの開始と同じです。パレスチナに自由と公正、そして真の平和がもたらされるよう、国際社会は今こそ変わるべき時です。
たとえ空爆がなくとも、イスラエルによって2007年以来封鎖されてきたガザの状況は壊滅的で、200万人あまりの人々が展望の見えない暮らしを強いられています。
そしてパレスチナ全体も、イスラエルによって狭い地域に分断され移動が制限されるとともに、とくに近年エルサレムでは家屋破壊や住民の居住権の剥奪が進行してきました。イスラエルはさまざまな手法でパレスチナ社会を侵食し、パレスチナ社会を消滅させようとしています。
問題はイスラエルとパレスチナの「憎悪の連鎖」や「暴力の応酬」ではなく、こうした枠組みで問題を理解する国際社会や、マスメディアの報道のあり方こそが問われるべきです。パレスチナを占領するイスラエルが、ヨルダン川西岸地区での入植地を拡大し、ガザを封鎖して巨大な監獄として管理し続けることを国際社会が黙認し続ける以上、パレスチナ人は可能な限りの抵抗を続けるしかありません。
そもそも西岸地区住民のおよそ三分の一、ガザ住民の大多数は、1948年のイスラエル建国時、ユダヤ人が支配する国を軍事力によって実現しようとする政策によって追放され、難民となった人々とその子孫です。イスラエル建国の暴力が現在に至る中東の混乱の要因であることは、繰り返し想起されるべきです。
今回の事態の「発端」となったエルサレムのシェイフ・ジャッラーフ地区では数年来、ユダヤ人右派入植者団体が法的手段や暴力に訴えてパレスチナ人を立ち退かせようとしており、現在28のパレスチナ人家族が立ち退きの瀬戸際にいます。イスラエルのネタニヤフ首相はこうした入植者の運動を、パレスチナ社会を挑発し、自身の政治的危機を回避するために利用しました。国際社会、とりわけアメリカは、イスラエル・パレスチナの和平「仲介」を名乗りながら入植地の問題を黙認・容認し、入植者運動の過激化に手を貸してきました。
テルアビブの住宅街に向けロケット弾を発射したハマースの軍事作戦については、擁護の余地はありません。しかし、上述のような建国の経緯と占領政策、パレスチナ人への抑圧に加え、核兵器保有を含め中東髄一の軍事力をもつ国家であるイスラエルと、非国家組織であるハマースを対等であるかのように扱うのは間違っています。ガザの人々が、少なくとも2006年の民主的な選挙において圧倒的にハマースを支持したのは、主流派のファタハがもはやパレスチナの治安管理を行うイスラエルの下請け機関となっている以上、抵抗を続けるハマースを支持するほかに選択肢がないからです。
私たちは、1948年のイスラエル建国以降のパレスチナ人の苦難を思い、民族自決と自由・公正を求める彼らの長年のたたかいに敬意を示し、広島原爆ドームを背に73分間のスタンディングを行います。
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原爆ドーム前のスタンディングは、ちょうど午後7時13分に終了しました。最初「73分間の行動(73分間の意味は、アピール文の最後に紹介されています)」と聞いた時には、ずいぶん長いなと思いましたが、様々なアピールがあり、あっという間の73分間でした。
「停戦合意」があったからと言って、戦闘行動が停止しただけであってパレスチナへの暴力が続き、問題が解決したわけではないことを忘れないで欲しいと思います。
当日の様子がもう少し知りたい方は、https://nakba-standing.comで見てください。
いのちとうとし
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