納得できない長崎市からの回答
3月29日のブログ長崎の原爆犠牲者数は?―長崎市へ質問状を送付: 新・ヒロシマの心を世界に (cocolog-nifty.com)で、長崎の原爆犠牲者数について質問状を送ったことを書きました。
問いかけたことは次のことでした。
「長崎市は、1945年末までの犠牲者数を、1976年に広島・長崎市の連名で出された『核兵器の廃絶と全面軍縮のために-国連事務総長への要請』では『約7万人(誤差±1万人)』とし、長崎市が1991年に岩波書店から発行した『ナガサキは語りつぐ 長崎原爆戦災誌』では、『1945年12月末までの犠牲者数は7万余を公式に採用』としているにもかかわらず、なぜ、『原爆被爆者援護事業概要』では、『73,884人』を使われているのですか」ということでした。
長崎市からは、最初に次のような回答(4月6日)がありました。
「死没者数について、正確な実数は把握できておりませんが、長崎市においては、長崎市原爆資料保存委員会の推計である『73,884人』が採用している数字であり、『ナガサキは語り継ぐ 長崎原爆戦災誌』に記載されている死者7万人余は、この数字を指しており、同段落でその旨記載しております。」
これに対し私は改めて問いかけたのは、「死者7万余は、長崎市の公式な数字ではないのか」ということと「長崎市原爆資料保存委員会の推計、73,884人」を採用されるとしても「公式の死者数7万余を併記すべきではないか」ということです。
この問いへの長崎市の回答(5月20日)は次のとおりです。
「『ナガサキは語り継ぐ 長崎原爆戦災誌』においては、長崎市原爆資料保存委員会が推定した『73,884人』を基に、『長崎市では、(中略)、死者7万人余とする説を公式に採用している』としており、そのことを同段落に記載しております。」
被爆した長崎市城山小学校
この回答を読んでも私には、次のような疑問が残ります。
①.長崎市が認める公式な犠牲者数は、いったい何人かということです。7万余か73,884人のどちらなのかです。もちろんどちらを使用したとしても、いずれも推計の数字ですが。
②.「ナガサキは語り継ぐ 長崎原爆戦災誌」でいわれている「公式」ということが変更されたのか?ということです。
この問いに対する回答(5月26日)です。
「繰り返しとなり恐縮ですが、長崎市が採用する数字は、これまでの様々な経過の中で『長崎市原爆資料保存委員会の推計』と出典を明記し『73,884人』を通例としており、現在の所、この表記を変更する考えはありません。
原爆被害について、様々なご意見があることは重々承知しておりますが、長崎市の考え方についてご理解くださいますようお願いいたします。」
私も、長崎市が「長崎市原爆資料保存委員会の推計」を通例として使用されていることを否定するものではありませんが、残念ながらこの中でも「公式の数字はどちらですか」への回答はありません。再度問いかけていますが、果たしてどんな回答になるのでしょうか。
この問題は解決していませんが、長崎市にもう一つ質したことがあります。それ「長崎原爆資料館のホームページで同じように長崎市原爆資料保存委員会の『73,884人」の数字が使われているにもかかわらず、『推定』の文字すら入っていない』ということです。
この疑問は、「原爆資料館のホームページについては、長崎市原爆資料保存委員会の報告が推定であるという前提から、『推定』という文字を記載しておりませんが、長崎市原爆資料保存委員会の推計と出典をより分かりやすく明記する予定です。」と修正する旨の回答がありました。
長崎市からは何度も回答をいただきましたが、長崎市が公式に採用している犠牲者数はいったいどちらなのか、なぜ確定した数字でもないのに一桁まで示された犠牲者数に固執されるのかという私の疑問は、依然解消されないままです。
長崎の原水禁大会に参加した時、私たち広島県の代表団が追悼のため毎年訪れる城山小学校の「原爆被爆70周年記念誌『平和』」の「発刊によせて」にはこう書かれています。「爆心地から500メートルの地点にあった本校児童約千五百人のうち千四百人余りの尊い命が奪われました。」犠牲者数は、確定していません。
私が、このことにこだわるのは、正確な実態を解明しなければならない原爆被害ですが、それが解明できないのも原爆被害の実態であることをはっきりさせることも、原爆の実相を知る上で大切なことだと思っているからです。
いのちとうとし
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