広島平和記念資料館の歩み第2部展開催中
昨年の夏から始まった被爆75周年企画展「広島平和記念資料館の歩み」の第2部「8月6日のまなざしー資料を守り伝え続ける」が、2月27日から7月18日の会期で、広島平和記念資料館東館1階企画展示室で開催されています。2月23日に終了した第1部は、「初代館長 長岡省吾の足跡」を紹介するもので、資料館が開館するまでの歩みと開館初期の状況について紹介する内容でした。
今回の企画展は、第1部で紹介された後の1970年代から現在までの資料館の歩みを紹介する内容です。開館20周年にあたる1975年に大規模の改修工事が行われ、遺品や写真だけでなく、住友銀行広島支店の「人影の石」や広島陸軍被服支廠のレンガ塀などの大型資料が展示される様子などが、時系列的に写真で紹介されています。
その中には、昨年のリニューアルで撤去された「被爆した馬」の展示もありましたので、小学校の修学旅行で資料館を訪れた時強く印象に残ったことを思い出し、ちょっと懐かしい気持ちになりました。
説明文を読んでいて、ちょっと気になった展示がありました。一番最初に展示されている「平和祈念資料館施設原現状配置図」(1971年⦅昭和46年⦆11月1日現在)に付された説明文です。こう書かれています。「1955年(昭和30年)の開館から十余年を経た資料館では、次第に展示資料が増え、また、原子力の平和利用に関する展示も加わり、『雑然とした展示』との指摘を受けるようになりました。そのため、1967年(昭和42年)に原子力の平和利用に関する展示を除き、熱線、爆風、放射線など事象ごとのコーナーを設け、原爆投下化から時間的な経過に沿った展示方法に改善しました。」
よく知られているように、1956年(昭和31年)に全国巡回していた原子力平和利用博覧会が、5月27日から6月17日まで平和記念資料館で展示物を撤去し開催されました。その2年後には、広島復興大博覧会の会場にもなっています。説明文によれば、原子力の平和利用に関する資料(復興大博覧会で使った一部だと思いますが)が、1967年まで展示されていたことになります。私にとっては、意外な事実でした。
どんなものが、どこに展示されていたのか気になります。今回展示されている配置図(文字などが薄くて見難い地図ですので、ここでは表示しません)は、1971年当時のものですから、その中に原子力の平和利用に関する展示物の表示はありません。
この企画展全ての見学を終えて、資料館の学芸課を訪ね、1967年以前の「館内展示配置概略図」を見せていただきました。この「配置図」には、図が薄くなって見難いのですが、原子力の平和利用に関する資料が複数展示されていることが確認できます。一つは、入り口付近の「原子力の先覚者」というコーナーです。ここでは、キューリー夫人などが紹介されていたようです。さらに進むと、一番奥と思われるところに「原子力船模型」という表示があります。さらに北側の廊下部分の壁面に「原子炉等模型」と表示されています。私が小学校の修学旅行で資料館を訪れたのは、1960年ですので、その時には、これらの展示物はあったはずですが、全く記憶に残っていません。
原子力の平和利用に関する展示物は「館内展示配置概略図」上で確認できるだけです。残念ながら、当時の様子を写した写真は展示されていません。
説明文によれば、原子力の平和利用に関する展示物を除いたのは「雑然とした展示」が理由だと書かれていますが、それだけだっただろうかと思います。と言うのは、1960年代には、全国的に米軍 原 子力 艦 艇 寄港 反 対 運 動(佐世保では1964年から69年)があり、同じ1964年頃からは原発建設に反対する住民運動が各地で闘われるようになりました。ちなみに原水禁大会で、初めて原発問題が取り上げられたのは1969年の被爆24周年原水禁世界大会からです。こうした国内情勢も資料館の展示から「原子力の平和利用に関する展示」が除かれる理由になったのではないかと想像しますが、それをうかがわせる資料があるわけではありませんので、この問題はさらに調べてみたいと思います。
この特別展には、誰でも自由に持ち帰ることが出来るパンフレット(14ページ)が作られています。分かりやすくまとめられており参考になると思いますので、ぜひ参観して入手したら良いと思います。
いのちとうとし
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