「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」開催-その2
昨日の「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」の報告のつづきです。福島からのメッセージの紹介に続いて、福島から広島に避難している渡部美和さん(福島原発ひろしま訴訟団団長)です。
「10年前、一生懸命語りました。この10年しがらみなどの連続で、発信も難しくなりました。福島の自宅で原発事故を体験し、広島に来て10年。子どもも育ち、よくケンカするようにもなりましたが、支えてくださった皆さんに感謝しています。祖母は広島の入市被爆者。核のことを知っているつもりでしたが、無知なことを知らされました。原爆は過去のことではなく現実のことです。黒い雨訴訟は、避難地域に指定されなかった私たちと重なります。この地で裁判を続けることが出来たのは奇跡です。多くの人たちの支援、努力があったからです。亡くなった人たちのためにもがんばりが必要と思っています。この10年刊は、一日一日が大変で、泣いたり笑ったりの日日でした。東電や国は事故は防げなかったと主張し、原発の再稼働を進めていますが、避難者も残った人も原発はだれも望んでいません。失ったものも多くありますが与えていただいたこともたくさんあります。」と声を詰まらせながらの訴えは、参加者の共感を呼びました。
そして、集会の最後に下の「3・11ヒロシマからのアピール」が提案され、参加者全員の大きな拍手で確認されました。そして全員が「フクシマを忘れない」や「さようなら原発」と書かれたプラカードを掲げてアピールを行い、集会は終了しました。例年は、この後デモ行進で市民へのアピールを行ってきましたが、今年は中止しここで今年の行動を終了しました。
集会の参加者は、250名でした。なお、毎年行っている中国電力への申し入れは、日を改めて3月19日に行うことになっています。
3・11ヒロシマからのアピール
「この10年間、言葉にならない悲しみや苦しみ、身内の死亡を経験もした。国や東電がやるべき安全対策をしなかったために事故が起きた。なぜ責任を認めないのか、全く理解できない。」
福島県いわき市から群馬県前橋市に避難した住民は、国の責任を認めなかった東京高裁の判決に、声を震わせてこう訴えた。
2011年3月11日、東日本大震災が発生、東電福島第一原発はチェルノブイリと同じレベル7という事故を起こし、福島県は壊滅的被害を受けた。それから早くも10年を迎えた。
政府が発した原子力緊急事態宣言は未だに解除できていない。今年1月末に福島県が発表した福島県内外への避難者は3万6千人とされているが、実際はその倍の7万人にのぼると推測されている。福島原発の廃炉作業は停滞したままだ。格納容器の上蓋は4京ベクレルという途方もない放射能に汚染されていることが原子力規制委員会から報告された。さらに増え続ける他の核種を含むトリチウムの汚染水など、人類が制御できない放射能ゆえに原発事故の怖さを見せつけている。
日本政府は「ALPS処理汚染水」の環境放出や、除染土を全国の公共工事などに再利用することを目論んでおり、新たな被曝が強いられようとしている。
問題は廃炉のロードマップだけではない。特に子どもたちの甲状腺ガンの増加についても福島県は原発事故との因果関係を認めようとしていない。降り注いだ放射性セシウムは今も森林に残留し生活圏への流入が危ぶまれている。老朽原発のさらなる運転延長、行き場のない「核のゴミ」処分の問題。政府、そして原発推進を目論む機関はこの事故から何を学んでいるのだろうか。東京電力元経営陣の刑事責任を問う裁判において、安全対策を怠った経緯が明らかとなったが、東京地裁は三人の被告人を無罪とした。これから東京高裁で審理が行われる予定である。福島からの避難者が集団で国と東電を訴える損害賠償事件は30を超える。広島地裁は黒い雨裁判の判決において、内部被曝による健康被害の可能性を認めた。この判決が福島原発事故による広範な放射能被曝被害を解決する指針になることを願わずにはいられない。
世界は再生可能エネルギーにシフトしている。日本は菅政権がやっと「2050年までに、脱炭素の実現をめざす」と宣言した。しかし、検討されている「エネルギー基本計画」は原発の再稼働や新増設も視野にあるという。わたしたちは、再び福島原発事故のような惨事を起こさないために原発ゼロをめざさなければならない。そのためにも、コロナ禍での緊急事態宣言と原子力緊急事態宣言という2重の困難を抱えているフクシマを、わたしたちは決して忘れない。
2021年3月11日
「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」 参加者一同
いのちとうとし
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