「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」開催-その1
東京電力福島原発事故から10年目を迎えた昨日、午後6時から30分間原爆ドーム前で「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」が開催されました。この集会は、事故が起こった翌年の3月11日に、同じ核被害を受けた広島が、福島の被害者への連帯の思いを表し、被害者の救済とすべての原発の廃炉を求める行動として始まり、それ以降毎年3月11日を中心に実施されてきました。
今年もコロナ過ではありますが、「フクシマを忘れない」広島の思いと脱原発社会実現に向けての決意を表すため、短時間での集会を実施することになりました。
2012年以来、この集会は、幅広く、出来るだけ多くの人に参加してほしいとの思いから呼びかけ人方式で実施されてきました。今年も昨年に続き秋葉忠利さん(前広島市長)、岡田和樹さん(有機農家)、坪井直さん(被爆者)、森瀧春子さん(市民運動家)、山田延廣さん(弁護士)の5人の呼びかけで開催されました。
集会は、福島原発事故で広島に避難している人たちを支援する大月純子さんの司会で始まり、まず東日本大震災で犠牲となられて人たちへの黙祷をささげました。続いて呼びかけ人を代表して山田延廣さんがあいさつ。山田さんは「原発事故から10年。今や事故はなかったようにされている。イライラする思いがする。現実は、帰還できない避難者、取り出す方法すら決まらないデブリ。これにどう立ち向かうのか。集会を始めた原点に返ること。『核と人類は共存できない』核兵器被害の広島、原発被害のフクシマが連帯し、核のない社会を目指すしかない。あきらめず闘っていこう」と訴えました。
今年はコロナ過で毎年続けてきた福島からの参加が出来ませんでしたので、福島の原発事故被害者団体連絡会事務局の大河原さきさんから、次のようなメッセージが届きました。全文を紹介することはできませんが、マスメディアでは伝えられない、福島の現状が訴えられていますので、その一部を紹介します。
「原発事故の影響はこのような原発サイト内ばかりではなく、生活のあらゆるところに及んでいます。国の『復興加速化方針』に逆行する、避難、放射能汚染、被曝は、NGワードとして人々の目や耳から遠ざけられています。絶対安全だと言われていた原発が事故を起こした後は、『放射能被爆安全神話』が巧妙に流布されています。
それは、政府が帰還困難区域を除染しないで解除することや、環境省が除染した汚染土そのものに食用野菜を栽培して放射能は移行しないとする実証実験や、文部科学省の『放射線副読本2018年度改定版』から『汚染』『子どもの被爆感受性』などのことばが削除されるなどに表され、地元メディアもNGワード関連の記事はごく少数です。
福島県は2017年3月の避難指示区域外避難者(いわゆる自主避難者)の住宅無償提供を打ち切ったのを手始めに、避難指示区域の避難者の住宅提供も打ち切り、経済的な困窮や病気などの事情で転居したくてもできない国家公務員宿舎に入居している避難世帯に対し2019年4月から2倍の家賃を請求し、そればかりか2020年には裁判に訴えて追出しにかかっています。
福島県が今年1月末に発表した県内外への避難者数は3万6千人ですが、実際はその倍の7万人に上ると推測されます。国も福島県も、放射能汚染が続く福島を証明する存在である避難者を切り捨てようとしていますが、避難者の権利は、原発事故の加害者である国が守るべきです。」
福島の今に続く被害を過少に評価し、被害者の切り捨てが、進んでいることがわかります。これを読んでいただければ、集会のタイトルが「フクシマを忘れない」となっていることの意味が、理解できると思います。
さらにメッセージは、広島との連帯も訴えられています。「10年経った今でも福島の空間放射線量は、低いところでも事故前の2倍~3倍はあります。福島で暮らすことは低線量被曝、内部被曝に晒されることです。昨年7月の『黒い雨裁判』の判決は、低線量被曝、内部被ばくについて認めた今までにない画期的な内容でした。そのため国は原発事故損害賠償裁判への波及を恐れ、すぐさま控訴しました。私たち原発事故被害者団体連絡会は、広島の団体を含む5団体共同で、控訴の取り下げを求めて抗議声明を発出し、厚労省、広島県、広島市に手渡しました。」
このメッセージを聞きながら、広島に住む私たちが、原発事故被害者団体連絡会が、広島県・市に「黒い雨訴訟の控訴取り下げを求めた抗議声明」を出したことをどれだけ知っているだろうかと思わされました。
集会はこの後、福島から広島に避難している渡部美和さん(福島原発ひろしま訴訟団団長)のあいさつへと続きましたが、続きは明日報告します。
いのちとうとし
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