完全に舐められている私たち ――河井夫妻からも、政府・自民党からも、東電からも――
完全に舐められている私たち
――河井夫妻からも、政府・自民党からも、東電からも――
災害についての基本的な知識を確認するシリーズを始めたのですが、前回は、明治以降の震災被害の内、大きなものを振り返るため、表を作りました。そのチェックの段階で、1989年のサンフランシスコ地震の際の建設省や専門家の御託宣を取り上げました。
高速道路が崩壊したりといった大きな被害が出た地震でしたが、今もはっきり覚えているのは、建設省の関係者そして専門家と称する人たちがテレビで得意顔をして、「日本の技術は優れているから、日本でこの規模の地震が起きても、同じような被害は起きない」と宣言している姿です。これは、6年後の阪神淡路大震災で、嘘であることが証明されてしまっているのですが、サンフランシスコ地震についての言明について、建設省や専門家たちがどのような反省をしたのかが未だに分りません。この点についても検証したいと考えています。
最悪の場合、このような立場の人たちが誤った「自信」と「傲慢さ」を持ち続けているとすると、現時点でこうした人々の発するメッセージに対する信頼度が無くなるからです。
最近ニュースで取り上げられた大きな出来事いくつかに注目しただけでも、「自信」と「傲慢」は、見出しに掲げた、「河井夫妻、政府・自民党、東電」には、立派に生き残っています。「傲慢」だけでは言い尽くせないほどの低劣な品性の持ち主なのですが、品性を問題にするのではなく、「結果」にシフトしましょう。
つまり、そんな人たちに、私たちは完全に舐められているという事実です。その証拠になるいくつもの言動があるにもかかわらず、私たちの側から、目の前で効果の出るカウンター・パンチを繰り出せないのが何とも歯痒いのですが、いくつかを確認しておきましょう。
元々、無罪を主張していた河井夫妻が、「今になって」その主張を引っ込めたのがその一つです、二人とも「有罪」を認めました。案理氏は、1月21日の東京地裁の有罪判決に対しての控訴は行わず、2月3日に辞職しました。克行氏は、3月23日に行われた被告人質問の中で、それまでの無罪主張を一転、有罪を認め議員辞職することも表明しました。さらに25日には、辞職願を提出、来週にも衆議院本会議で認められるとのことです。
東京地方裁判所
まず、案理氏の一審判決が確定し、当選は無効になった意味と自民党の責任について、元広島地検特別刑事部部長、東京地検特捜部でも活躍した郷原信郎弁護士が分り易く説明してくれています。
「広島県政界に広く現金がばら撒かれたこの事件は、まさに党の組織としての重大不祥事である。1億5000万円の選挙資金と現金買収の原資との関係や、安倍氏や菅氏の案里氏の立候補及び選挙運動への関与や認識などを明らかにし、また、広島県政界に事件が波及した構造を解明して、是正を図らなければ、自民党が公正な選挙を行うことへの信頼も期待もあり得ない。」
(出典は、「ヤフーニュース」です)
こうした努力は全く行わずに、「候補を一本化」することが、この不祥事に対する答だとの主張を行っている自民党の県連は、今回の「再選挙」の意味を無視し、選挙とは「政局」つまり、権力闘争の一場面であるとしか考えていないことを示しています。
それは、選挙そのものの意味、民主主義と国民主権についての自民党の基本姿勢を具体的に示している行動でもあるのです。
再び郷原氏に登場して貰うと、
「自民党が、広島県の政界の体質に目を向けることなく、単に、過去の与野党の票差と、野党側の選挙事情だけに目を向けて、再選挙に公認候補者を擁立しようとしているとすれば、広島県民を舐めきった「思い上がり」以外の何物でもない。」
次に取り上げたいのは、「一転して、有罪を「今」の時点で認めることになった」理由です。これほどの「変心」には何らかの理由があるはずです。改めて、説明しなくても皆さんにはお分りかもしれませんが、念のため、整理しておきましょう。
① お金が欲しかった―――歳費と文書交通費だけでも、月に200万円以上の収入になります。またボーナスもあるのですから、二人合わせると恐らく4,000万円くらいにはなります。そのお金が欲しかった、という理由かもしれません。「無罪」を主張し続けたのは、議員でいる限りこの収入が入ってくるからだという説明には、そのことが正しいかどうかの判断とは別に、説得力があります。
② 補欠選挙を遅らせたかった―――案理氏の場合、控訴をして、時機を選ぶことで衆議院選挙と参議院選挙を同じ日にすれば、保守王国の広島では選挙が有利になると考えられます。しかしこの目論見は衆議院の解散があると外れてしまいます。さらに、弁護のための費用もかなり掛かりますので、そのバランスで「今」になったのかもしれません。克行氏の場合は、3月16日以降に辞職すれば、10月には確実に衆議院議員選挙があるのですから補欠選挙は行われなくなります。それを狙ったのかもしれません。
この点については、ヤフーニュースに、大濱﨑卓真さんが詳しく分り易い記事を載せてくれていますので、お勧めします。
この他にも理由はあるのでしょうが、「舐められている」証拠のもう一つに移ります。二階自民党幹事長の「他山の石」発言です。
案理氏を公認候補として担ぎ出し、選挙費用に1億5,000万円出したのは自民党に「他」なりません。応援演説のため何度も広島入りした自民党の幹部たちは、実は「他党」のスパイだったとでも言いたいのでしょうか。嘘をついても何を言っても問題にはならない、国会でもマスコミでも大問題としては取り上げない、世論は無視すれば良い、と我々を舐めきっているからこその発言なのではないでしょうか。
東電の柏原刈羽発電所については、回を改めます。
[2021/3/26 イライザ]
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