「県民を舐めるな! 有権者を馬鹿にするな!」 ――怒りを発信することも私たちの義務です――
「県民を舐めるな! 有権者を馬鹿にするな!」
――怒りを発信することも私たちの義務です――
「舐めるな」とか「馬鹿にするな」という表現を使う機会はあまり多くはないのですが、使わなくてはならない場合には使うことが大事です。
森友や加計、そして桜を見る会等が有耶無耶の内に忘却の彼方に放り出されてしまっている感のある今、権力者・為政者による過去のスキャンダルそして違法行為を反省し、「国民全体の奉仕者」としての仕事を懸命にこなしていて当然の政治家や高級閣僚たちが、さらには国民の意思を代弁して当然の政党も、またまた目に余るスキャンダルを繰り返しています。
そんな気持を、論理的にかつ明快にまとめてくれたのが、広島地検の元刑事部部長そして元東京地検特捜部の郷原信郎弁護士です。ヤフーニュースへの投稿、「参院広島選挙区再選挙、自民党は、広島県民を舐めてはならない」が、的確に問題の本質を抉ってくれています。詳しくは、このヤフーサイトを御覧頂きたいのですが、サワリだけ引用しておきましょう。
「広島県政界に広く現金がばら撒かれたこの事件は、まさに党の組織としての重大不祥事である。1億5000万円の選挙資金と現金買収の原資との関係や、安倍氏や菅氏の案里氏の立候補及び選挙運動への関与や認識などを明らかにし、また、広島県政界に事件が波及した構造を解明して、是正を図らなければ、自民党が公正な選挙を行うことへの信頼も期待もあり得ない。」
こうした努力は全く行わずに、「候補を一本化」することが、この不祥事に対する答だとの主張を行っている自民党の県連は、今回の「再選挙」の意味を無視し、選挙とは「政局」つまり、権力闘争の一場面であるとしか考えていないことを示しています。
単純化してまとめておくと、「一本化」に理解を示す人たちは、片や「岸田派」(岸田総理を実現させたい人たち)、こなた「菅派」(安部から菅というラインを作りたかった人たち)の抗争という図式で次の選挙を考えているからなのではないでしょうか。2019年の参議院選挙で、自民党が二人の候補を立てることになったのは、この抗争での「岸田派」の敗北を意味している。この抗争の次の回、つまり参議院再選挙で勝つためには、「岸田派」がまとまって、「候補を一本化」することが必要だ、と言っているに等しいではありませんか。
それは、選挙そのものの意味、民主主義と国民主権についての自民党の基本姿勢を具体的に示している行動だと言っても言い過ぎではないでしょう。
再び郷原氏に登場して貰うと、
「自民党が、広島県の政界の体質に目を向けることなく、単に、過去の与野党の票差と、野党側の選挙事情だけに目を向けて、再選挙に公認候補者を擁立しようとしているとすれば、広島県民を舐めきった「思い上がり」以外の何物でもない。」
自民党は再選挙に公認候補を出すという決定をしたのですから、郷原氏の結論、「広島県民を舐めきった」行為であることが証明されました。公認候補を擁立して選挙運動をする中には、河井夫妻から金を貰った現職の自民党議員が含まれています。そんな選挙で自民党候補に一票を入れることは、今以上に「舐められる」ことになるのですから、そんな選択をする人は少数だと思いますが、それだけで良いのでしょうか。
静かに、「粛々と」投票するだけではなく、声を大にして「人を舐めるのも好い加減にしろ!」と叫ぶことも必要なのではないでしょうか。
私たちの目の前にある政治腐敗は、河井夫妻の買収事件だけではありません。少しは改善されたように見える、新型コロナの感染も、まだまだ問題です。中止すべきだと考える市民が多数を占めているオリンピックを、ゴリ押しして開催しようとする内閣も組織委員会も、国民を甘く見ています。こうした重要案件を抱えて、誠心誠意、主権者である国民との対話を重んじ、より良い解決策を策定しなくてはならないにもかかわらず、与党議員たちもその下支えをすべき高級官僚たちの為体 (ていたらく) も、目を覆うべき状態です。
総務省の官僚たちが菅総理大臣の長男の勤める東北新社から受けていた接待が、常識外れであることは改めて指摘するまでもないでしょう。それだけではなく、『週刊文春』が音声を公開していなければ、「記憶にない」等の虚偽の答弁を弄することは、森友・加計・桜から連綿と続く、「隠蔽」「言い逃れ」「知らぬ存ぜぬ」「記憶にない」等々の「悪事隠し」の手法は、国民を馬鹿にしているとしか言いようがありません。
仮に事実を認めても、せいぜい減給とか訓告・戒告等が主なものになり、重くて辞職です。罰則はないのも同然なのですが、私たちはそれに慣らされてしまっています。法律や制度がそうなっているからなのですが、そこから見直す必要があるのかもしれません。
この際、もう一度憲法を読んでお浚いしておきましょう。まず15条です。
第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
国会議員も公務員という立場なのですが、通常の公務員も当然、15条に縛られます。高額の接待を受けること自体、「全体の奉仕者」としての意識の欠如なくしてはあり得ません。それでもう憲法違反です。重い罪でなくて何でしょうか。
さらに、12条が重要です。
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。
公務員の人事権を持つという「権利」も、「不断の努力」で守り続けなくてはならないのです。公務員が、全体の奉仕者としての立場を捨て、自分たちの持つ権力に驕っている場合、私たちが「怒り」をエネルギー源として、断固たる姿勢を示すことは、12条を遵守するための「義務」だとも考えられるのですが、如何でしょうか。
[2021/2/26 イライザ]
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