問題だらけの広島市平和推進条例 ――世界平和の「原点」にはなりません――
問題だらけの広島市平和推進条例
――世界平和の「原点」にはなりません――
広島市議会が「広島市平和の推進に関する条例(仮称)素案」を発表し、市民意見を募集しています。締め切りは昨日、2月15日でした。
意見募集についてのお知らせは、市議会のホームページに掲載されていますので、それも御覧下さい。
広島県原水禁は、この素案中でも、特に5条と6条に焦点を合わせた「意見と要望」を提出しました。金子代表委員が山田市議会議長に直接お渡ししましたし、口頭でも補足の要望をしてきました。それについては、明日、2月17日に金子代表委員からの報告があります。
今日は、「意見と要望」の全文を掲載して、皆さんに私たちの考え方をお伝えします。ちょっと長くなりますが、お読み頂ければ幸いです。なお、私個人としての「思い」は、次回、2月21日にアップします。
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2021年2月15日
広島市議会
議長 山田春男様
原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁)
代表委員 秋葉 忠利
〃 金子 哲夫
〃 佐古 正明
「広島市平和の推進に関する条例(仮称)素案」に関する意見と要望
貴職におかれましては、平和行政の推進、市民生活の安心、安全、とりわけコロナ対策の推進のため、日夜奮闘されていますことに敬意を表します。
さてこの度、貴議会は「広島市平和の推進に関する条例(仮称)素案」(以下「素案」という)を発表され、市民の意見募集を行われています。
私たち広島県原水禁もこの「素案」を読ませていただきました。議会として広島市の平和行政推進のために条例を策定されようとしていますことは、評価しますが、より良いものとしていただくため、この「素案」に対し、下記のような意見、要望を提出することにしました。
つきましては、「広島市平和の推進に関する条例(仮称)」を策定されるにあたって、私たちの意見を反映していただきますよう強く要望します。
記
1、前文で「核兵器禁止条約」について全く触れられていない事への疑問
本年1月22日に核兵器廃絶への大きな一歩と言われる「核兵器禁止条約」が発効しました。この時期に作られる条例であれば、新しい情勢の中での「広島市の平和推進」のあり様、決意を表す内容とならなければならないと思います。
2、広島市の平和行政を推進するためには、市民の多様な意見を反映したものでなければなりません。しかし、「素案」では、それに逆行し、市民の自由を制限する内容となっています。「平和に関する」条例であればあるほど、「市民の表現の自由」が保障されるものでなければなりません。そこで、以下二つの点に絞り、意見を述べます。
①第5条の「市民の役割」では、「施策に協力する」ことが明記され、一方的に「市民の協力義務」を課しています。市政の主人公は、市民です。あるべき姿は、市の平和政策推進にあたっては、むしろ市民の多様な意見、考え方を積極に取り上げ、それらを反映させることが重要です。真にそうした姿勢が貫かれれば、おのずと市民の協力を得ることが出来るはずです。例え、平和行政であったとしても、反対の意見があっても不思議ではありません。市民の思想信条の自由を制限する条例は制定されるべきではありません。「施策に協力するとともに」を削除し、市民が主人公となるような条文に変えられるよう要望します。
②第6条の「平和記念日」の第2項では、「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式典」を「厳粛の中で行うものとする」ことを明記しています。
この問題について、私たち広島県原水禁は、一昨年12月18日に市長に対し「市民の言論・表現の自由」を規制する「『拡声器使用規制条例』制定反対」の申入れを行っています。真の「平和」を作るためには、「言論や表現の自由」が保障された社会でなければなりません。
現に広島市は、この問題の解決を解決するための話し合いを粘り強く行っています。
現在8月6日の「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式典」は当然のことと実施されているにもかかわらず、あえて第2項が加わっているのは「厳粛」を求めるためとしか思えません。
「条例」に罰則規定が無いとしても、この条例が「規制の根拠」となっていくことが危惧されます。
私たちは、第6条、2項の削除を求めます。
3、市議会による「平和に関する条例」の制定にあたっては、とりわけ市民の声を大切にし、市民目線に立ったものであることが重要です。
「条例制定ありき」で拙速に進むのではなく、今回のパブリックコメントで終わるのではなく、さらに市民との積極的な意見交換を行い、市民の声が反映されたより良い条例が制定されることを強く要望します。
4、広島市が世界的に注目され、特にその平和についての姿勢が世界の模範を示してきた歴史からも広島市の平和行政は、世界的基準で評価されます。
最近、わが国の人権意識―中でも女性差別や表現の自由についてーが、世界から批判を受けている状態です。広島市の条例であっても(と言うよりも、「だからこそ」と言うべきだと思います)、この点について、グローバル・スタンダードを満たしていなければなりません。法的拘束力のある条例の重みに鑑み、人権意識は最大限尊重されなくてはりません。残念なことに「素案」は、こうした世界の価値観に反するものとなっています。それを避けるためにも、上記の提案を真摯に受け止めていただきますよう要請します。
以上
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[2021/2/16 イライザ]
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