広島市議会議長への「平和に関する条例案(素案)」に対する意見・要望書を提出
広島県原水禁は金子哲夫代表委員と渡辺宏事務局長が、2月15日午後1時に広島市議会を訪れ、山田春夫広島市議会議長と面談し、「『広島市平和の推進に関する条例(仮称)素案』に関する意見と要望」を直接手渡しました。この場には、市議会政策立案検討会議の代表若林新三市議も同席されました。
「意見・要望」書を手渡した後、金子から改めて、その中味を説明しました。強調点は、第5条の「市民の役割」と第6条の「平和記念日」の第2項の「『広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式典』を『厳粛の中で行うものとする』こと」が明記されていることです。その中味は、昨日紹介した要望書を読んでいただければ、わかりますので、ここでは詳細は省略しますが、「市民への協力義務を課していること」や「個人の言論や表現の自由を規制する」ことは、看過できないことを口頭でも強調しました。
さらに、「オリンピック組織委員会森前会長の差別発言問題」を取り上げ、「この条例案は、森発言問題と同質の人権にかかわる問題を含んでおり、絶対に修正されなければならない」とも指摘しました。
最後に、拙速に「今回のパブリックコメントで終わり」にするのではなく、もっと幅広く意見を聴きながら、より良い条例案とすることが大切だということを提案しました。
山田議長は「議会とした条例案づくりを進めることになり、各会派から一名の代表が参加し、時間をかけて論議してこの素案をまとめたものです。これまでにパブコメが400件余り届いています。政策立案検討会議で、きちんと論議したいと思います。みなさんの声もこの中に反映したいと思います。」との返答でした。第5条、6条問題に関しては、一昨年のローマ教皇の広島訪問時のことが持ち出され「厳粛なうちに行われた」と述べるだけで、「言論、表現の自由」など人権問題についても残念ながら明確な答えはありませんでした。また私たちが「さらに市民との積極的な意見交換を行う必要がある」という提案をしましたが、これに対しても明確な回答はなく、条例案採択の時期の明示もありませんでした。
その後の記者会見を行いました。多くの記者が議長との面談の場を取材していましたので、原水禁の基本的立場を簡単に説明するとともに「特に核兵器禁止条約が採択されて以降、若い人たちがさまざまな活動を展開しているので、市議会は、もっとこういう人たちの意見を聴く必要があるのではないか」ということを強調し、その後若干の質問を受け、記者会見を終了しました。
この一連の行動の中で、いくつか気になる情報を得ました。ある若者のグループが、市議会政策立案検討会議の委員に「計画したオンラインイベントへの参加」を呼びかけたところ、様々な理由で参加できないとしたうえ、複数委員から「今回の市民意見の募集にあたっては、様々なご意見に対し、当会議としての意見や回答について、個別には行わないこととしております」との回答が寄せられたということです。確かにパブコメを求める市議会のホームページにも「提出された意見に対する個別の回答はいたしませんので、予めご了解ください」と書かれていますが、その次に「提出された意見については、意見の概要と政策立案検討会議の考え方を市議会ホームページなどで公表します。」と書かれています。400件を超えたといわれるパブコメについて、政策立案検討会議がどのような検討を行い、どんな「考え方」が示されるのか、注目しなければなりません。
今のところ、この「政策立案検討会議の考え方」に対しての扱いは明確にされていませんが、当然のこととして「考え方」に対する意見や要望を聞く必要がるはずです。その意味でも今後の議会の姿勢を注視する必要があります。
いのちとうとし
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