今年の島根原発をめぐる動きと私たちの活動
昨年末ころから島根原発の在る地元マスコミを中心に、21年中に原子力規制委員会が島根原発2号機の審査会合を終え、規制委での「合格」が出るだろうという予測記事を載せています。
島根原発2号機の適合性審査申請(分かりやすく「再稼働申請」と書きます)は、福島原発事故から2年9か月が経った13年12月に行いました。あれから7年以上が経過しています。中国電力にとっては、こんなに長くは掛かるとは思っていなかったようです。その大きな原因は、中国電力の審査に臨むスタンスの不誠実さと無責任体質にあると感じています。
1月21日の全国紙の地元版も〝今年中にも「合格」か〟という記事を載せました。原子力規制委員会の審査も、残りは地震による液状化を考慮した地盤や斜面の安定性、津波で船舶などが衝突した際の防波壁の強度-など5項目となっているとしています。
しかし中国電力のスタンスは、規制委から良い印象を持たれていないようで、まだまだ不透明な部分がありますが、私たちとしては「合格後」を予測して置かなければと思います。
規制委で審査書案の了承がされ「事実上の合格」がされれば、審査書案はパブリックコメント(意見公募)の段階に入ります。「事実上の合格」は、この5月中にはされるのではという声も聞きますが、私の感じではもう少し時間がかかるのでは予想しています。
ここで島根原発の再稼働に関して思う、これからの課題について羅列してみました。
大前提はパブリックコメントに掛けられたとき、出来るだけ多くの人が意見を寄せることです。パブリックコメント慣れした人からは、「出しても効果がないから…」という声を聞くことが多いのですが、それは違います。別に難しいことを書く必要はないのですから、原発に対する素直な気持ちでよいのです。
島根原発には、次のような問題点があります。
まずは、
①2号機はプルサーマルというプルトニウムとウランを混ぜた燃料を使うということ、その危険性です。
②「テロ対策施設工事」は、まだ設計段階で見通しもたっていません。
③関西電力大飯原発の基準地震動について、先日大阪地方裁判所が地震動の「ばらつき」が評価されていないとして、原告勝訴の判決を下しました。島根原発で「ばらつき」を考えた時に最大の基準地震動はいくらになるのか、それに対しどういう対策を取るか取っているかという問題があります。
④原発の南側に存在する活断層である宍道断層が、鳥取県の鳥取沖西部断層に繋がっているのではないかという問題があります。
⑤島根原発は2029年に、建設から40年を迎えます。福島原発事故後に改正された原子炉等規制法によって、原発の運転期間は40年とされました。ただし、原子力規制委員会の認可を受ければ1回に限り最長20年の延長ができることになっています。中国電力は40年超えについては「未定」としていますが、6000億円を超える費用を「安全対策」に費やしているのですから、その可能性は高いと予測されます。
また、島根原発から真南にある宍道断層の長さ、鳥取県の大山や島根県の三
瓶山の火山爆発の問題などが在ります。
島根原発の大きな問題点は、避難問題や防災協定、安全協定などがありますが、これに対して規制委は「自らの審査対象ではない」と逃げるでしょう。それを承知した上で、パブリックコメントにはどんどん意見を出してよいと思います。
「事実上合格」から「合格」になったその後は、地元同意の課題に入ります。全国の沸騰水型で「合格」した原発も、地元同意の段階で実際に動いた原発はありません。
島根原発からの避難問題では、島根県内はもとより鳥取・岡山・広島の各県にも避難者は来ることになっています。コロナ禍の中で避難の問題も、改めて最初の段階に戻って考えなければならないと思います。そういう意味では、広島県も地元です。まさにこれからが正念場だと捉えています。
木原省治
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