ヒロシマとベトナム(その20-2)-技能実習生問題を考える
「同意書」や「契約書」で「恋愛禁止」「妊娠したら強制帰国」・・・・
下の写真は、「外国人の技能実習生が妊娠し、強制帰国や中絶を迫られる例が相次いでいる。受け入れ機関側から『恋愛禁止』や『妊娠したら罰金』と宣告されるケースもあり、専門家は『人権上問題だ』と指摘している。」という記事とともに2018年12月1日の「朝日DIGTAL」に掲載されたものです。
私も以前、技能実習生から「異性との交際は禁じられている」ことや「単独行動は許されず、コンビニに行くのでも複数」など聞いたことがあります。最近では耳にしませんが「携帯を会社に預ける」という実習生もいました。いずれにしても、富山地裁判決が出されて8年、こうした事案が減るどことか増えていることに対する政府の責任は大きく重いと思います。
政府の不誠実な人権侵害防止対応
「特定技能制度」新設を目前に控えた2019年2月、立憲民主党の阿部知子衆議院議員が、「外国人技能実習生に対する妊娠禁止規定は民法違反とした判決があること等に関する質問主意書」を出していました。それは、「妊娠禁止規定は民法第90条違反」と規定した2013年の富山地裁判決に基づき、技能実習生に対する人権侵害を防ぐための政府の対応を質すものです。技能実習生支援団体が政府に通知していた「契約書」の事例を示し、「この事例を認識した後、どのような対処をしたのか」、また「妊娠禁止条項を記載した契約書が他にも結ばれていないか、送出機関、技能実習実施者、監理団体に対して、一斉に調査をかけるべきではないか」など、14項目について質問しています。
対する政府「答弁書」は、(支援団体が政府に送った「妊娠禁止項目」記載の「契約書」について)「『この事例』の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難」、(「妊娠禁止条項」を記載した契約書に関して)「調査を行う予定はない」とし、「相手国政府との定期的な情報交換と送出機関への説明会を通じて・・・周知を図っている。外国人技能実習機構を通して実習実施者及び管理団体に周知するよう求めてゆく」と、まったく真剣さを欠いた不誠実で無責任極まりない姿勢です。
犠牲者を出さないために
政府は、直ちに「妊娠禁止条項」など人権に関わる違法不当な「契約書」や「同意書」についての実態調査を技能実習生の受入事業所と管理団体で実施、違反があれば厳しく措置。相手国政府を通して送出機関への周知徹底、違法性がある送出機関からの受け入れ停止などの断固とした処置を講ずる必要があります。
しかし、これだけでは不十分です。すでに、「契約書」や「同意書」から「妊娠禁止条項」などの記載を削除している事業所や研修機関、管理団体もあるでしょう。しかし、実態は生きています。送出機関で受ける日本での就労や生活上の注意事項など派遣前教育で、「妊娠したら帰国」と擦り込まれます。その意味で、送り出し機関の研修内容を含めたチェックも必要です。
直ちにやるべきこと、できることは国だけに限りません。技能実習制度の所掌が自治体になく、その限界性があるにしても、転入時の行政手続き等でのオリエンテェーションを通した周知と日常的な情報展開、技能実習生受入事業所の把握と訪問など着手すべき課題は多くあります。
次回(2月)は、こうした人権問題に関わる「契約書」や「同意書」が実習生を縛っている背景として、日本に来るまでに多額の借金を背負わざるを得ない技能実習制度の実態について見てゆきたいと思います。
(2021年1月5日、あかたつ)
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