21年、原発・エネルギー政策をめぐる課題
今年最初の私の担当となりました。本年もよろしくお願いします。原発やエネルギー問題、毎年のように「今年は正念場」と言ってるような気がしていて、そのインパクトも薄れているようにも思いますが、今年は本気で正念場だと思っています。
その理由は何といっても、この夏場に向けて改訂がされる予定の「エネルギー基本計画」です。だいたい3年毎に改訂されているのですから、「そう変化は無いだろう」と思われるかも知れませんが、あえてそれをいうのは、今年が福島原発事故から10年という節目だからです。
これまで原発推進側も、10年まではそれでも「大人しくしておこう」という感じでしたが、ここで方針転換を掛けようという姿勢が見えだしました。その象徴的な出来事は、福島原発事故の前、福島県双葉町に掲げられていた「原子力明るい未来のエネルギー」の標語の看板、事故後は取り外されていましたが、場所は同じ双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」に展示されることが決まったということです。
そのキッカケになったのは菅義偉内閣が誕生し、10月26日の最初の所信表明演説で「2050年温室効果ガスの排出をゼロにする」と大見えをきったことです。温室効果ガスの排出をゼロにするということは評価されることですが、これを待っていたかのように、「二酸化炭素を出さない原子力発電必要論」が大きく頭を出し始めました。
菅総理の演説からたったの2か月の12月25日、政府は「グリーン成長戦略」を発表しました。「脱炭素」という誰もがうなずく「錦の御旗」をたてに、重点14分野の政策を示し、その中には原発新増設も明記しました。
中身の詳しい内容は別の機会に書かせていただくとして、エネルギー基本計画改訂の議論が曲りなりにも行われている中で、2050年とはいえ、政府が先んじてこのような重要な課題を国民的議論にかけることなく発表したことです。これを示してマスコミや世論がどういう反応を示すだろうかと、テストしたかのようにしか見えないのです。それも再生可能エネルギーの中に原発を含めるという、ふてぶてしさです。
問題点がたくさん在りすぎて一つに絞ることは不可能ですが、あえていえばエネルギー、イクオール電気だという考え、2050年には電力需要が現在よりも30%~50%増えると見込んでいることです。2050年、現在30歳の人も60歳になります。71歳の僕は101歳です。ほとんどの人にとっては、現実的な問題としてはなかなか捉えられないことです。
今、確実にいえるのは今後エネルギー需要、電力需要は確実に減少すること、そして同時に再エネのコストはますます低下し、そのことで再エネの将来性や価値が上昇するというのが現状です。
地球温暖化防止対策の国際ルール「パリ協定」が採択されて、昨年12月に丸5年が経過しました。目標達成を目指す世界中の国や地域は120を超えました。米国のバイデンさんも大統領に就任したら、すぐに「パリ協定」に復帰するとしています。世界広しとはいえ「温暖化防止のために原発を」という国は、僕の知っている限りでも4~5カ国だと思います。
「RE100」というのがあります。これは使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にする事に取り組んでいる企業が加盟している国際的な企業連合です。昨年12月15日現在、日本の企業もこれに45社が加盟しています。同じく11月、キリンビールも加盟しました。僕はこの時から「ビールはキリン」にしました。
木原省治
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