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« 「2021年度ヒロシマ平和カレンダー」完成に寄せて | トップページ | ヒロシマとベトナム(その20-2)-技能実習生問題を考える »

2021年1月 5日 (火)

ヒロシマとベトナム(その20-1)―技能実習生問題を考える

技能実習生の妊娠・出産に関わる「事件」相次ぐ

昨年12月5日の「ヒロシマとベトナム(その19)」で、11月に東広島市で発生したベトナム人技能実習生の「幼児遺体遺棄事件」をとりあげました。この「事件」は、単に一人のベトナム人技能実習生が起こした「事件」に留まらない背景と課題が横たわっています。今回から幾度か、この問題を考えてゆきたいと思います。

11月の「事件」発生後、12月4日の「幼児殺害で再逮捕」、12月11日の「母子守る制度『周知不足』」、12月25日の「保護責任者遺棄致死と死体遺棄の罪で起訴」との報道を目にされた方も多いかと思います。

少なからぬ皆さんから「なぜ、相談できなかったのか」、「誰も(妊娠に)気づかなかったのか」という声をお聞きしますが、「妊娠すればベトナムに帰国させられる」という趣旨の供述が報道されていたように、この「事件」の背景に、「妊娠すれば帰国させられる」という問題があります。

同様の「事件」を調べてみると、2017年に栃木県でベトナム人技能実習生が妊娠4ヶ月・死産の幼児遺体遺棄、2018年に川崎市で中国人技能実習生が生後間もない男児の保護者責任遺棄、2019年に福岡県でベトナム人技能実習生が男児死産・遺棄、2020年に岡山県でベトナム人技能実習生が堕胎・遺体遺棄、東広島市の「事件」直後にも熊本県でベトナム人技能実習生が双子の嬰児遺体遺棄と相次いでいます。しかも、年々増加傾向にあります。それらのいずれもが、「妊娠すれば母国に帰らされる」という問題が背景に横たわっています。 

こうした「事件」発覚は氷山の一角に過ぎず、技能実習生の間で出回る堕胎薬で「密かに処理される」ケースも少なくないと聞きます。

いずれにしても、これらのことから、自分の子どもの保護責任遺棄や遺体遺棄「事件」まで起こしてしまう背景に、「妊娠したら帰国しなければならない」という強力なプレッシャーがあることは明らかです。

Pg

盆踊りを楽しむベトナム人技能実習生(事件とは関係ありません)

 

「妊娠禁止規定」違法判決後も 生き続ける強制帰国のプレッシャー

2013年7月17日、富山地裁で富山市内の食品加工会社で技能実習生として働いていた中国人女性(当時22歳)が、妊娠判明と同時に帰国を迫られて流産し、不当に解雇されたとして、実習先の会社と受入団体に解雇無効と630万円の損害賠償などを求めた裁判の判決が下されました。

「妊娠禁止規定により技能実習を打ち切り、即時帰国を求めることは、労働関係法令の適用により技能実習生の法的保護を図るという技能実習制度の趣旨に反し、公序良俗(民法第90条)に反するものであるから、原告がいったんそのような合意をしたとしても、かかる合意に拘束力はないと言わざるを得ない」と、解雇を無効と認め、会社側に毎月約11万円の未払い賃金と賠償金など約363万円の支払いを命じたものです。

この判決は、他の判例とともに「外国人技能実習生法的支援マニュアル」に掲載された画期的な判決です。

しかし、その後も「妊娠禁止規定」による解雇・帰国や今回のような「事件」が後を絶ちません。

(2021年1月5日、あかたつ)

<編集者注>送っていただいた原稿が、少し長めでしたので、2回に分けて掲載することにしました。続きは、明日掲載します。

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