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« アメリカ臨界前核実験に抗議する座込み | トップページ | 新たな決意で核のない平和な世界を目指そう・その3 ――「成功例」を別の視点から整理し直そう―― »

2021年1月20日 (水)

電話会議となった「被爆二世裁判」

昨日は、午後1時30分から被爆二世裁判の口頭弁論が予定されていました。しかし、コロナ対策ということで法廷は開廷されず、裁判官と弁護団による「電話会議」ということになりました。したがって、「書面の陳述」等の扱いにはならず、事務的な進め方の整理をするということになりました。

原告弁護団からは、昨年12月に、今回の公判に向けて2つの準備書面が提出されていますので、もし開廷されておれば、この準備書面の要旨が、弁護団によって陳述されたはずです。

ところで、裁判を傍聴していて、「何が何やらわからないまま審理が終わった」と実感することがよくあります。民事訴訟の裁判を傍聴した最初の頃は、私も何度か戸惑ったことがあります。民事訴訟では、口頭弁論をすることが原則となっているようですが、口頭での複雑な主張は理解が難しいということで、日本の民事訴訟では、「口頭弁論は、書面で準備しなければならない」ことになっています。ですから法廷で「主張は準備書面の通りです。」と述べるだけのやり取りが繰り広げられ、数分余りで審理が終了することが、ほとんどです。原告や裁判傍聴者にとっては、何が何だかわからないまま、アッという間に閉廷したしまったということになります。そこで、原告団が多い、支援傍聴者が多い、マスコミが関心を持っている裁判などでは、少しでもそうした人たちにわかるように(「わかるように」と私が勝手に思っているのですが)、弁護団が裁判長に法廷での「書面の陳述」を求め、すでに提出している「準備書面の要旨」を口頭で陳述することがあります。それを要求するのは、ほとんどが原告弁護団からですが。こうした裁判では、さらに、公判終了後、「報告集会」がもたれ、原告団の決意表明や弁護団による裁判の解説が行われことが多くあります。被爆二世裁判でも、公判終了後は必ず「報告集会」が行われてきました。もちろん、昨日は「報告集会」は実施されませんでした。

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裁判の解説が長くなりましたが、昨年12月に提出された2つの準備書面について簡単に紹介しておきます。と言っても、「準備書面9」は1万字、「準備書面10」は1万5千字を超える長文ですので、「簡単に」というのは難しいのですが。

「準備書面9」では、被爆者援護法附則17条をもとに「立法不作為」(国家が法律を制定すべきところをその義務を怠り、そのために国民に損害を与えたこと)について、主張しています。原告全員が勝訴した昨年8月の「黒い雨訴訟判決」を紹介しながら「援護法附則17条」を引用し「地理的な範囲において原爆による放射線被害の可能性が考えられる第一種及び第二種健康診断特例区域に居た人たちに対し、健康診断特例措置により援護がなされるのであれば、少なくとも、放射線被害の遺伝的影響の可能性のある被爆二世に対し同様の措置をとるべきことは明白である。」と結論付けています。

「準備書面10」では、「放射能の遺伝的影響」について、「被爆二世は、身体に原爆による放射能の遺伝的影響を受けている可能性がある」ことを、遺伝学の専門家によって明らかにされた知見を紹介し、主張しています。「準備書面10」には、この被爆二世裁判を医学の面から支えておられる兵庫医科大学・遺伝学、非常勤講師で医薬基盤・健康・栄養研究所、特任研究員の振津かつみさんの2万字を超える「意見書」も付されています。

「電話会議」終了後、「弁護団報告」が送られてきました。それによれば、最後に「今後の裁判の進め方」が話し合われ、裁判官から「立証の予定」が問われ、原告弁護団からは、「専門家の証人1名と原告本人尋問を考えている」と発言し、裁判官からは「専門家の証人は振津さんか?原告尋問は何名かに絞るか?」というやり取りがあったそうです。今月12日に開かれた長崎地裁では、裁判長から原告側に対し、もう少し具体的に「人証(大まかにいえば証人尋問のこと)の予定を示してほしい」と要請があったそうです。このまま進めば、両裁判所とも、次々回以降に証人尋問が実現しそうです。

いのちとうとし

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