やっと実現した第23代高校生平和大使の広島研修
第23代高校生平和大使の広島研修が、5日、6日の二日間、広島市内で開催されました。
今年の高校生平和大使は、コロナ感染拡大の影響を受け、各都道府県での選考も遅くなり、例年6月に行われていた結団式も開催できずに来ました。もちろん、8月に実施していた高校生平和大使の最も大切な行事、1万人署名活動で集めた署名を届けるための国連欧州本部訪問も、今のところ実現の見通しが立っていません。
こうした厳しい状況が続いてきましたが、高校生平和大使のどうしても一堂に会して、交流したいとの強い思いが実り、4回も延期を繰り返してきましたが、ようやく「広島研修」ということで実現したものです。
今年の高校生平和大使は、全国で500名余りの応募の中から、28名が選ばれました。今年初めて兵庫県で、高校生平和大使が誕生しました。これで全国16都道府県へと広がりました。
今回の広島研修には、広島県の高校生平和大使3名(梶原百恵さん・福山市立福山高校、柚木優里奈さん・広島大学付属高校、楠康生さん・修道高校)など、28名中26名が参加しました。欠席となった長崎の代表2名は、長崎県教育委員会が「部活による県外の高校との交流は禁止」するとの通達を出したため、参加できなかったそうです。ただ、長崎県からは、県独自の活動として「ハワイ」と「韓国」への派遣平和大使となっている2名が参加しましたので、参加者は合計28名でした。
開会前に、参加者全員で記念写真の撮影です。
第1日目の研修は、予定の午後1時半きっかりに、第21代高校生平和大使の下久保理子さんの司会で、スタートしました。最初は、小早川健高校生平和大使派遣委員会代表世話人のあいさつです。研修の最初は「被爆者のお話し」を聞きます。「被爆者のお話」は、元資料館館長の原田浩さんです。自らの被爆体験のみならず、被爆後今日までの核兵器をめぐる動き、運動などが紹介されました。次に、高校生平和大使OP・第18代の井上つぐみさんの話です。井上さんの話は、高校生平和大使としての自らの体験、特にジュネーブ・国連欧州本訪問の様子が、当時の写真をふんだんに入れたパワーポイントを使いながら、詳しく語られました。国連欧州本訪問の実現が難しい第23代高校生平和大使が、どんな思いで聞いていたのかなと複雑な気持ちで、この話を聞きました。長崎から参加し、2018年と、19年にノルウェーに派遣された中村涼香さん、第21代の山西咲和さんからは、高校生平和大使の任期を終えた後も、活動を続けていること、高校生平和大使終了後の活動の受け皿として、きちんとプラットホームを用意していることの報告と一緒に活動を続けようとの呼びかけがありました。
この3人の話しで、高校生平和大使後も多くの人が、現役の平和大使の活動をサポートし、それぞれが工夫をしながら、継続して活動を続けていることを知ることができたと思います。
休憩をはさんで、高校生平和大使派遣委員会共同代表在間秀和弁護士の「高校生平和大使に期待する」、同じく共同代表の平野伸人さんの「高校生平和大使の歴史と役割」の講話がありましたが、詳細は省略します。
私がこの広島研修に参加して感動したのは、この後始まった各県の活動報告です。語りたいことが沢山あったのでしょう。予定の時間をオーバーしましたが、豊富な内容でした。同行した各県のサポーターのみなさんも登壇します。
昨年までの結団式は、高校生平和大使に選ばれた直後に開催されていましたので、一人ひとりの発表は、「選ばれてこんなことをしたい」という「決意表明」でした。しかし、今年は違いました。一番遅く選ばれた人でも、すでに3カ月余りが経過していますので、それぞれが工夫をしながら署名活動を取り組んできた経験が、次々と発表されます。コロナ禍で、街頭署名ができなかった人も多かったようです。でも、「地域の平和集会に参加して呼びかけた」「自分の学校内で呼びかけた」「母校の中学校に出かけ、お願いした校長先生のおかげで、署名が広がった」などなど困難な中でも多様に取り組んでいることが次々と報告されました。さらに、新潟県、奈良県の大使は、「空襲被害のことも学び、その追悼式で署名を呼びかけました」と、地元の戦争被害と向き合ってきたことも報告されました。静岡の大使からは「焼津に高校生ビキニ事件研究会を作り、身近な核被害の問題を取り組むことなしました」、東京の大使は「ユーチューブでナガサキオンライン修学旅行を企画しました」との報告もありました。長崎で、オンラインでの署名を集めるために作られた「QRコード」を活用して署名を集めたという報告が、複数の県からありました。もっと時間があれば、と思わされる貴重な報告の連続でした。
一日目はこれで終わりです。残念ながら夕食をとりながらの交流会は、中止です。
二日目は、午前8時15分に平和公園・資料館前に集合し、まず慰霊碑への黙祷です。
ここで、三組に分かれて、広島の被爆二世の案内で、平和公園のフィールドワークを実施しました。
そして最後は、あらかじめ予約していた広島平和祈念資料館見学で、今回の「広島研修」が終了しました。第23代高校生平和大使にとっては、待ちに待った全員が一堂に会する場だったと思います。それを象徴するように、すべての日程が終了後、これからも連絡を取り合って活動を続けようと、携帯番号などを交換している姿が印象的でした。
いのちとうとし
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