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2020年11月20日 (金)

国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の銘文―その4

昨日からのつづきです。

3枚目の大きな修正は、説明文としては最後になる6枚目です。この説明文は、読み終えて振り返ると、「平和祈念・死没者追悼空間」が目の前に広がる大切な位置にあります。

20201117_130613

「死没者追悼空間」から見た6枚目の説明文

まず最終案を紹介します。

ここに、原子爆弾によって亡くなった人々を心から追悼するとともに、誤った国策により犠牲となった多くの人々に思いを致しながら、その惨禍を二度と繰り返すことがないよう、後代に語り継ぎ、広く内外に伝え、一日も早く核兵器のない平和な世界を築くことを誓います。

当初案です。

ここに、原子爆弾によって亡くなられた方々を心から追悼するとともに、二度とこのような惨禍が繰り返されることがないよう、後代へ語り継ぎ、広く内外へも伝え、一日も早く核兵器のない平和な世界を築くことを誓います。

ここで最も重要な修正は、「誤った国策により犠牲となった多くの人々に思いを致し」の文言が挿入されたことです。この修正は、全体を通じても最も重要で、論議のあったところです。

2001年6月28日の広島での被爆者団体との意見交換を受け、厚生省が7月6日に示した案には、「日本は遠くないここの一時期に国策を誤り、戦争への道をあゆみました。」と「国策を誤り」との文言を明記した案が示されました。しかし、7月11日に開催された開設準備会検討会で、森亘座長(元東京大学学長)が、「『国策を誤り』の表現は、主観的すぎるため不適切である」と強く主張し、検討会は「『不幸』に変更修正する」を決めました。

当然のことですが、この決定に対し、広島の被爆者団体は「到底納得できない」として、翌々日(13日)には厚生大臣に対し、「非修正」を求める要望書を提出しました。そうした広島の被爆者団体の強い態度が力となり、「誤った国策」の文言が挿入されることになったのです。この「誤った国策」は、「戦後50周年の終戦記念日にあたって」の村山総理談話で使われて言葉ですから、被爆者団体にとっては譲れないことでした。被団連事務局長として被爆者7団体をまとめ、説明文修正の中心的役割を果たした近藤幸四郎さんは、「誤った国策」という言葉が盛り込まれたことを「国がその責任を認めて建設したことに意義がある」と語っていました。その事実を認め、一日も早く核兵器のない平和な世界を築くこと」を誓ったのが日本政府であることが重要なのです。

この経過をじっくりと読んでいただければ、私が「追悼空間スロープ」にある6枚の銘文(説明文)にこだわる理由を理解していただけるのではないかと思います。

20201117_130428

ですから、現在の追悼祈念館では、この6枚の説明文の扱いがおろそかになっていることにずっと問題意識を持っていたのです。そこで先日、追悼祈念館を訪れ、私の手元にある資料を示し「この6枚の銘文(説明文)をホームページやリーフレットできちんと紹介してほしい」と要望しました。対応していただいた館長は「私たちも、大切な文章だということは理解しています。ただこの施設は、国からの委託を受け広島市が運営していますので、私たちが『こうします』と言うことができません。厚労省に『要望があったこと』をきちんと伝えます」との返事でした。良い方向に進むことを願っています。

現在、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の地下1階「情報展示コーナー」では、企画展「時を超えた兄弟の対話―ヒロシマを描き続けた四國五郎と死の床でつづった直登の日記―」が、開催されています。好評で開催期間が2月28日まで2カ月延長されることになりました。ぜひこの機会に、追悼祈念館を改めて訪れ、この4回のブログで紹介できなかった3枚を含め「追悼空間スロープ」の6枚の説明文全文をじっくりと読んでほしいと思います。

いのちとうとし

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