長崎市が、広島の原爆犠牲者数を修正
8月27日のブログ「広島の原爆犠牲者は11万8661人―長崎市原爆被爆者対策概要」(https://kokoro2016.cocolog-nifty.com/shinkokoro/2020/08/post-90cc30.html)で、「長崎市原爆被爆者対策概要」で「広島の人的被災 死者数は『118,661人』」となっていることを紹介しました。
このことに関し、8月31日広島市に対して次の4項目の問題提起をしました。
「1、長崎市原爆被爆者援護事業概要に『広島の死者数として118,661人』が掲載されていることは、承知されていますか。
2、広島市原爆被爆者援護事業概要のP.15の『3 社会的破壊』の『1被爆時の人口及び死亡者数』に掲載されている5つの推計では記載されていない『S.21.8.10 広島市調査』が、長崎市原爆被爆者援護事業概要に採用されていることについて、どうお考えですか。
3、広島市と長崎市は、1976年の『国連への要請書』並びに1979年7月作成の『広島・長崎の原爆災害』において、両市は共同で原爆犠牲者数を推計する作業を実施されたはずです。にもかかわらず、長崎市原爆碑学者援護事業概要において、全く違う人数が記載されていることをどうお考えですか。
4、当然、それぞれの市に資料採用に当たっては独自性があって良いとは理解しますが、広島市であれ長崎市であれ、他市の原爆被害を表すときには、当該市の意見が尊重され、出来得る限り齟齬が無いようにすることがベターだと考えますが、どうお考えでしょうか。
5、『長崎市原爆被爆者援護事業概要』に対し、修正を求める考えはありませんか。」
私からの申し入れを受け、広島市としても「問題がある」と判断されたのでしょう、長崎市と協議されてようです。
一昨日、「長崎市から返事がありました」と広島市の担当課から連絡があり、昨日広島市を訪れ、報告を受けました。
広島市から長崎市に対し「広島市は、原爆犠牲者数について『国連への要請書』に記載した14万人±1万人を公式に数字として使用しているので、ぜひ『118,661人』という数字を修正してほしい」と伝えたところ、長崎市から「過去の資料がないためなぜあの人数が使われているのかわかりませんが、広島市の指摘通りに修正します。」と回答があったとのことです。広島市からは「もし原爆資料館など別のところでもこの人数が使用されているようでしたら、すべて修正していただきたい」とも要望したということでした。
どのように修正するかは、長崎市が判断することですが、1979年には共同作業を行いながら「なぜ広島と長崎の間で、こんな行き違いが」という疑問は残ります。被害に対する考え方の違いでしょうか。
広島市の担当課長からは、「広島県の原爆被爆者援護事業概要に記載された人数の違いについても、県と連絡を取り、修正してもらうことになりました。長崎ともですが、広島の県と市でこんな違いがあったとは思いませんでした」と付け加えての報告がありました。
「広島県の事業概要の人数を修正します」という返事は、県からすでに受けていましたが、承知はしていましたが、これからも県・市の連携が深まることを願わずにはいられません。
広島県・市に関わる疑問は一応解決したのですが、長崎市の「長崎の原爆犠牲者(死者)は、1945年末までに73,884人」という一ケタの数字がどうなるのかは不明です。犠牲者数を一ケタまで特定することが困難なのが原爆被害の実態であることを考えれば「一ケタまでの犠牲者数が使われ続ける」ことへの疑問は残ったままです。長崎の人たちと連絡を取り、長崎市の見解を問いたいと思います。
いのちとうとし
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「いのちとうとし」様
歴史に残るお仕事をされましたね。心から敬意を表します。
被爆の事実を後世に遺すに当っても、その他、私たちの経験を後の世代に理解して貰うためにも、大切な出発点は「事実」です。原爆による被害のように、その事実の全体像を把握することが限りなく難しい場合もあります。しかしながら、科学の力を借りながらその全体像の近似値を確定して行かなくてはなりません。そのための努力の軌跡、その結果等を私たちが知ることで、また正確に次の世代に送ることで、さらなる希望につながります。
そんなプロセスの大切さをこのような形で共有して下さり、有り難う御座います。
今後の健筆にも期待しています。
投稿: イライザ | 2020年9月26日 (土) 23時06分
「イライザ」さま
コメントありがとうございます。
余りにも被害の大きさゆえに、確定できない事実。そのことを伝えるとともに、少しでも事実に近づける努力を忘れてはならないことを学ばされます。
それにしても、原爆犠牲者数にしても、広島、長崎、そして県市で、これほども違うのかと、今回調べながら実感しました。
たまたま観たテレビ番組に疑問を感じたことからの出発でしたが、調べてみることの大切さも学びました。
これからもいろいろとご示唆をお願いします。
投稿: いのちとうとし | 2020年9月27日 (日) 07時20分