広島県が「原爆犠牲者数の修正」を約束
先月の26日、27日と2回にわたって「広島、長崎の原爆犠牲者数」についての両県市の公文書での人数の違いについて指摘しました。その2回目「広島の原爆犠牲者は11万8661人―長崎市原爆被爆者対策概要」(https://kokoro2016.cocolog-nifty.com/shinkokoro/2020/08/post-90cc30.html)では、広島県の「原爆被爆者援護事業概要」に触れながら、「広島の県と市の『原爆被爆者対策概要』で使われている死亡者数が、違う数字が掲載されているのはなぜなのか。」という問題提起をしました。
私は、同時に広島県の見解が聞きたいと、26日付で「①なぜ全体像が明らかにできない軍人・朝鮮人を含まない11.4万人の人数を掲載しているのか②広島原爆資料館が明示している14万人±1万人との整合性は?③被爆地の県、市が発行する『原爆被爆者対策事業概要』及び 原爆資料館に明示されている死亡者数が、ばらばらであることに強い疑問を感じる。県・市において調整することは考えられないのか」など6項目の問い合わせのメールを送りました。
広島県の担当課からは、わずか2日後の28日に、以下のメールによる回答がありました。少しわかりづらい部分があるかもしれませんが、県の回答を正しく伝えるため、全文をそのまま掲載します。
「本県の原爆被爆者援護事業概要に関するご指摘とご提言,ありがとうございます。
『第1章 原爆被害の実態』については,放射線被曝者医療国際協力推進協議会の協力を得て『原爆放射線の人体影響 改訂第2版』(以下「改訂版」という)の一部を転載しています。(1頁の<注>参照) この改訂版の著作権も考慮し,そのままの記載としています。
この改訂版では,広島市の『広島原爆戦災誌』のデータを用いて分析されていますが,死亡者数の記録が乏しく実態が不明となっている軍人,朝鮮半島の方々を除く数の11.4万人という記載になっています。
一方で,1頁の<注>のとおり,『改訂版の一部転載』と明記しているものの,ご指摘の“14万人±1万人”の広島市等での公表数字と異なり混乱する可能性があるため,来年度発行する県事業概要においては,国連報告の14万人±1万人の表記を加えるとともに,11.4万人の説明として“軍人,朝鮮半島の方々を除く数であること”を記載することについて,広島市及び改訂版の関係者と調整し,これらを記載した改定を行いたいと考えております。」
この回答によれば、「次年度広島県が発行する「原爆被爆者対策事業概要」には、『国連報告の14万人±1万人』」に明記されることになり、県と市の犠牲者数の整合性が、とられることになったようです。
ただ、「原爆放射線の人体影響 改訂第2版」では、「なぜ軍人や朝鮮半島出身者を除いたのか」などの疑問は依然として残ったままです。
確かに原爆被害を検討した様々な報告の多くで「軍人や朝鮮半島出身者は含まれていない」とする死亡者数が、あたりまえのように示されていることには、どうしても納得出来ない思いが残ります。
今後「11.4万人の説明がどうなるのか」などの課題は残りますが、ただ今回、広島県が、一県民の指摘に対し、「修正する」の回答を含め迅速に対応したことを評価したいと思い、その経過を報告することにしました。
いのちとうとし
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