「核のない未来を」-世界核被害者フォーラム報告記録集
昨日の中国新聞で紹介された「核のない未来を―世界核被害者フォーラム」報告集の発送作業が、昨日の午後行われましたので、私もそれに参加しました。今回の発送先は、国立大学、公立大学の図書館、各都道府県立図書館、県内の公立図書館などの280冊余りでした。
「世界核被害者フォーラム」は、ちょうど5年前の2015年11月21日から23日までの3日間、広島国際会議場を会場に開かれ、世界各地から招待した11カ国20人の核被害者・運動家・専門家など自主参加者を含め18カ国延べ1026人が結集して核被害をもたらす核利用サイクル(核サイクル)を根絶しようと熱心な討論が繰り広げられました。「核のない未来を!」は、その報告記録集です。
編集後記にも記されていますが、このフォーラムの議題に原発のことが含まれているとの理由で、広島市長の挨拶や支援が全く受けられなかったことを、参加者の一人として今思い出します。
昨日の中国新聞記事で森滝春子さんが触れておられますが、この「世界核被害者フォーラム」には、原水禁国民会議や広島県原水禁が深くかかわってきた「核被害者世界大会」という前史がります。この世界核被害者フォーラムの報告記録集を手にし、改めてそのことを思い起こしています。
原水禁国民会議が主催する原水禁世界大会で広島・長崎以外の世界の核被害者が声を上げ、連帯が始まったのは、被爆26周年(1971年)原水禁世界大会にミクロネシア代表団の参加した時からです。ミクロネシア代表団は、「核被害の状況を調査するための代表団を派遣してほしい」と訴えます。私たちは、この時初めて「原水爆被爆国が日本だけでなかった」ことを知ることになったのです。そして、この大会の「ヒロシマアピール」で「世界の全ての被爆者核被害者の連帯」を呼びかけ、ミクロネシアへの調査団を派遣する「国際行動決議」を採択します。この年1971年12月、原水禁国民会議は、日本で初のミクロネシア被曝調査団を派遣しました。さらに1975年の3.1ビキニデーの集会には、マーシャル諸島ロンゲラップの代表団が参加し、核実験による被害を訴えます。
その後開催された「非核太平洋会議」などで、核実験被害者のみならず、ウラン採掘現場での先住民族の核被害を知ることになり、1975年に開催された被爆30周年原水禁世界大会で「核絶対否定」「核と人類は共存できない」の理念が、打ち出されました。私たち原水禁は、この時から「核と人類は共存できない」という理念を掲げることになりました。
その後も世界の核被害者、特にアメリカの核実験場の風下住民やウラン採掘場の先住民族との連携を深め、1985年8月5日には、原水禁世界大会実行委員会が中心となって15カ国約150人の核被害者が一堂に会する世界で初めての「国際核ヒバクシャフォーラム」が広島市で開催されました。そして翌年には、長崎で「核被害者フォーラム」が開催され、1987年9月にアメリカニューヨークで30カ国約350人が集まって開催された「第1回核被害者世界大会」に結びついていきました。この第1回核被害者世界大会には、私も森瀧市郎先生のカバン持ちとして同行し参加しましたので、忘れられない思い出となっています。1992年には、ドイツベルリンで60カ国450人が参加し「第2回核被害者世界大会」が開催されましたが、残念ながら第3回以降の「核被害者世界大会」は、開催できずに来ていました。
長い空白の後、森瀧春子さんを中心として広島や長崎の人たちの努力によって、「世界核被害者フォーラム」が開催されることとなり、広島県原水禁も賛同団体として参加しました。
世界核被害者フォーラム報告記録集「核のない未来を!ヒロシマから世界へ 届けよう核被害者の声を!」は、テープに録音された3日間の熱い議論が、全て掘り起こされた貴重な資料です。そして、このフォーラムに深くかかわってこられた広大名誉教授の鎌田七男先生による医学的立場からの校正や最近の新たな知見も踏まえ、最後の最後まで校正を続けてこられた中味の深い記録集となっています。
この「世界核被害者フォーラム」につながる原水禁運動の歴史も思い起こしながら、多くの人に読んでいただきたい資料です。
いのちとうとし
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