広島文理科大学・広島高等師範学校原爆死没者遺骨埋葬の地碑
先日、中国新聞に掲載された「創立70周年記念写真集広島大学の70年」を「広島大学75年史編集室」から送っていただきました。表紙カバーに使われている写真は、1045年10月頃に菊池俊吉さんが撮影された被爆後の広島文理科大学付近の写真です。左側には、広島赤十字病院も映っています。
冊子を開いていた気になる写真が目に入りました。
タイトル「平和を希求する精神」の項に使われている写真です。その写真の解説には「『原爆死没者遺骨埋葬の地』碑建設式であいさつする飯島学長(1972年12月25日) 前身校の原爆被災の実相解明が進められることにより、全学的な慰霊の機運が高まってゆくことになった。」と書かれています。
実は、数年前広島大学千田キャンパスを訪れた時、正門入ってすぐ右側に建つ建物・共用施設の南側に「広島文理科大学・広島高等師範 学校原爆死没者遺骨埋葬の地」碑が建っているのを見つけたのですが、その時は「ここにお骨が埋葬されているのだろうか」とちょっと不思議な気はしたのですが、あまり深く考えずに、写真だけ撮って帰った記憶があります。下の写真は、今回改めて撮影したものです。
「創立70周年記念写真集」で「碑建設式」のことを知り、改めて興味が湧き、同誌の発行者である広大文書館の石田雅春さんにメールでお問い合わせました。石田さんからすぐに「以下の広島市のホームページ(https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/32119.pdf)に紹介記事がございます。広島市からの執筆依頼に応じて広島大学文書館が作成した説明文です。PDFの11ページ目に関連記述があるのでご覧いただければと思います。」と丁寧な返事が返ってきました。早速そのホームページを開くと「原爆死没者遺骨埋葬の地碑」について「1945年8月6日の夕方及び翌7日にかけて広島文理大学・広島高等師範学校の構内や周辺から遺体8、9体及び遺骨10数体が発見された。遺体及び遺骨は学校関係者が氏名を確認し、遺体は構内において茶毘に付した。大半の遺骨は遺族に渡されたが、1945年末の段階でなお小量(鉄かぶと 1杯足らず)が残った。そこで、これを鉄かぶとに納め広島文理科大学本館(旧広島大学理学部1号館)の裏に埋葬した。1970年に埋葬地にボイラー室が建設され、工事の際に鉄かぶとが発見されたものの遺骨は完全に土化していた。広島大学原爆死没者慰霊行事委員会が被爆時の実態調査を進める中で、こうした事情が判明したため、遺骨埋葬地付近に石碑を建立した。その後、広島大学の移転に伴い、同石碑は 1996年に現在地へ移設された。」
これで「広島文理科大学・広島高等師範 学校原爆死没者遺骨埋葬の地碑」の建立の経緯と現在地にある理由が理解できました。ただ、この文章を読みながら、少し気になったことは「1945年末に埋葬されてから1970年までは、「遺骨の埋葬地」であることを知らせるものはなかったのかということです。
石田さんのメールには、丁寧に「もともと石碑のあった場所(本来遺骨が埋葬されていた場所)は、旧理学部1号館の裏で,現在はスポーツクラブルネサンスと梶川病院の間の場所のあたりになります。」と記されていましたので、その場所も訪ねてみました。
写真の右側の建物の奥に映っているのが、旧理学部1号館です。老朽化が進んでいることがうかがえます。保存工事が急がれます。
ところで、「原爆死没者遺骨埋葬の地碑」が1996年に移設されるとき、この場所が選ばれたのは、この碑のほぼ真向かいには、1974年8月6日に建立された「広島大学原爆死没者追悼の碑」があるからだと思われます。
石田さんによると、「毎年8月6日に『広島大学原爆死没者追悼之碑』の前で広島大学主催の慰霊祭を行います。その際に『原爆死没者遺骨埋葬の地碑』にも献花と献水をすることになっています。」ということで、この碑も大切に扱われていることが分かりました。私が訪れた7日にも、6日に供えられたと思われる花がありました。
いのちとうとし
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