子どもたちの思いに寄り添う
「1学期は成績つけない」ある私立の決断 真摯な姿勢自体が子どもへのメッセージ |
7月初め頃の新聞にこのような見出しを見つけました。新型コロナの影響で臨時休業が約2カ月間続いたことにより、成績をつけるための材料が十分にない教科もあることや休業中の家庭学習の内容を成績に加味するにしても、様々な家庭環境があることに配慮した結果、1学期の成績をつけることを見送る決断をある学校はしたようです。学期の終わりに「成績はつけるもの」との価値観が優先されれば、成績をつけることは決して不可能ではなかったでしょう。それをそうせずに、子どもの立場に立ち、子どもの思いに寄り添うことを優先したことが素晴らしいと思います。
学校現場を見渡した時に、果たしてどれほど子どもたちの立場に立ち、その思いに寄り添おうとしているのか、はなはだ疑問です。
2月末の突然の安倍首相による全国一斉臨時休業の要請、それを受けての各自治体の臨時休業の決定はその最たるものです。卒業を、あるいはその学年の終わりを前にして、友と別れを惜しみつつもどこか温かな思いで過ごしていた日々が突然、何の前ぶれもなく打ち切られたのです。私のクラス(当時中学3年生)の男子は日記にこう思いを綴りました。
「政治をする人はボクたちの気持ちをわかっていません。ボクたちの思いを聞いてほしいです。クラスのみんなや先生とまだ一緒にいたかったです。まだまだ話をしたかった。悲しいです。悔しいです」……
この生徒は普段は日記を書いて提出することをあまりしなかったのですが、悲しみ・怒りが彼にそんな行動を取らせたのでしょう。臨時休業の措置については賛否両論あると思いますが、臨時休業を要請・決定した人たちはどれだけ子どもの立場に立ってその思いに寄り添おうとしたのか、ということです。
≪卒業式までのカウントダウンが、この日で突然途切れます≫
また、臨時休業が長引くにつれ学びの遅れの解消が最大の関心事になり、「9月入学」論争が巻き起こりました。子どもの思いそっちのけで話が進んでいきました。「9月入学」論争の発端は、高校3年生による、授業だけでなく、仲間と過ごすかけがえのない学校生活が奪われていくことへの悲痛な叫びだったはずです。大人たちが勝手に学力保障のみに話をすり替えていったのです。
県内の小中学校では、運動会(体育祭)や学習発表会・文化祭などの行事がなくなったり縮小の方向で進んでいるようです。小6・中3の子どもたちにとっては、その学校における最後の学校生活です。これまでに上級生の姿を見ながら、自分たちも最終学年になったらあんな風にしたいと夢見ていた子どもたちも多くいることでしょう。それがかなわなくなってしまった失望感は計り知れません。そう思うと、仮に「中止」を決めるにしても、どれほど子どもの側に立ってその思いを推し量って「苦渋の」決断をしたのか、問うてみたくなるのです。
≪子どもたちは行事で育ちます!≫
学校は誰のために、何のためにあるのでしょうか。子どものことを一番よく知っているのは子どもたち自身です。子どもに関わることを大人だけで決めずに、権利の主体者である子どもたちとともに、その権利の保障を考える姿勢が今、私たち大人に求められているのだと思います。
休憩時間を削って毎日7時間授業をする、感染リスクを低減させつつ、学びの遅れを取り戻すことに懸命に尽力している学校現場に、平気で全国学力テスト(国は中止を決めたが、問題用紙は現場に提供された)の実施を課し採点・分析を求める教育委員会……子どものことを1番に考えていますか?休憩を削りつつ詰め込んで7時間も授業をすることが、子どもたちにとってどんな意味がありますか?臨時休業が3月から約3カ月間あったにもかかわらず、学力テストを全児童生徒に課し、子どもたちに対してもさることながら、ただでさえ時間外勤務に追われている教職員にさらなる負担を負わせることに、心は痛みませんか?憂うべき学校現場の実態です。
子どもたちの思いを大切にし、しっかりそこに寄り添う大人でありたい、と心から思います。
<みらいのそら>
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