劣化した政治の「震源地」はどこか? (1) ――小選挙区制度と政治家の供給源――
劣化した政治の「震源地」はどこか? (1)
――小選挙区制度と政治家の供給源――
「百害あって一利なし」状態の安倍政権ですが、それでもまだ権力の座にしがみ付いている姿は、醜いだけでなく哀れです。とは言え、出来るだけ早く引導を渡さなくてはなりません。そのためには何ができるかを考え実行することも大切なのですが、今回は、より大局的な見地から、これほど長く政治の劣化が続いてきてしまっているのは何故なのかを考えたいと思います。
本シリーズでは、二つの「震源地」に的を絞ります。小選挙区制度と、政治家がどのような集団から供給されているのか、つまり、政治家の供給源の二つです。両方とも深刻な問題ですし、その解決のためにはかなりの時間が掛りそうです。たとえば、小選挙区制実現のために、自民党はほぼ半世紀を掛けて努力を重ねたのですから、それを元に戻すのにも同じくらいの時間が掛ってもおかしくはないからです。
人材の供給システムも、それ以上の歴史を持っているのですから一筋縄では解決できません。でもまずは、目標に向けて「出発」しなければ何も起こらないのですから、その準備として現状の把握をしたいと思います。
今回は、人材の「供給源」という震源地を取り上げます。それは、政治家として活躍している人たちの前歴が何だったのか、そもそもの出自はどこなのかを問うことです。大きな供給源としてすぐ頭に浮ぶのは三つのグループです。
一つは、二世・三世も含めた世襲議員・政治家です。もう一つは、官僚出身の政治家です。そしてもう一つは、松下政経塾の出身者です。時代遅れの大買収事件を起した河井克之元法相も松下政経塾出身です。
三世議員の岸田文雄氏
いっぺんに全ての事実を並べてもインパクトが薄いと思いますので、まずはあまり注目されない上に、問題視もされてはいない、しかしながら、やはり放っては置けないデータから始めましょう。それは、全国47都道府県の知事はどのような経歴の持ち主なのかということです。大変分り易いサイトがありますので、それを御紹介します。nippon.comのjapan dataです。ここには実名入りで、全知事の6割が元高級官僚であったことが表として掲げられています。官僚の天下り先として、地方自治体の首長という、目立たないけれども政治的社会的には大きな影響力を持つ受け皿があったということなのです。
もう一つ、広島県民にとっては身近な「常識」なのですが、衆議院の広島1区から7区まで、そして、広島選挙区から選ばれている4人の参議院議員について、どのような経歴または出自で議員になっているのかを見てみましょう。
選挙区 |
議員氏名 |
所属政党 |
世襲議員? |
官僚出身? |
松下政経塾出身? |
その他 |
1区 |
岸田文雄 |
自民 |
三世 |
|
|
|
2区 |
平口洋 |
自民 |
|
国交省 |
|
|
3区 |
河井克之 |
自民 |
|
|
〇 |
|
4区 |
新谷正義 |
自民 |
|
|
|
医師 |
5区 |
寺田稔 |
自民 |
池田勇人の次女の |
財務省 |
|
|
6区 |
佐藤公治 |
希望 |
佐藤守良の次男 |
|
|
|
7区 |
小林史明 |
自民 |
|
|
|
NTTドコモ |
参院広島 |
宮澤洋一 |
自民 |
宮澤喜一の甥 |
財務省 |
|
|
〃 |
柳田稔 |
国民民主 |
|
|
|
神戸製鋼 |
〃 |
森本真治 |
国民民主 |
|
|
〇 |
|
〃 |
河井案里 |
自民 |
河井克之の妻 |
|
|
|
比例代表は省きますが、選挙区選出の11人中、8人は、政治家の三大供給源出身者です。広島県は非常に保守的な地域ですので、これほど極端な傾向が全国の縮図だとは言えませんが、それでも、圧倒的多数の議員が世襲か、元官僚か、松下政経塾出身者であるという事実は、政治の質と大きい関係があると考えてもおかしくはないはずです。それ以前に、民主主義そのもの、特に選挙によって、それも小選挙区という制度の下に行われる選挙によって選ばれるという現実を踏まえると、このまま看過してしまって良いことではありません。
次回はこの続きです。
[2020/7/21 イライザ]
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コメント
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広島5区。女婿。どうなのでしょうか。宮澤喜一の甥。ならば、池田行彦の姪婿。総理大臣の、長女の娘。こういうことには、こだわって、います。総理大臣の、次女の、婿養子です。5区と参議院。財務省と、大蔵省。両者とも、入省は、大蔵省。2区。国交省。入省時?これは、退省時、基準ですか。4区。医師。間違いでは、ありませんが。団体役員?医療法人?葵会グループの、次男。5区。孫婿。姪婿。池田行彦の姪の婿。自分は、詳しい過ぎですか。1区と参議院は、いとこ?佐藤守良さん、いい人と、聞いています。
投稿: 匿名希望 | 2020年7月21日 (火) 04時20分
🙇先だっては恥ずかしくも大変なミスを(;´д`)!
泉下の國弘先生、失礼のほどご容赦ください。
旧漢字に気を取られ、などの言い訳はノンですね🙇
小選挙区制。当時大大大大大反対の論陣を張った方々、
また党議拘束に反して青票を投じた社会党議員に、
「あなたがたの叫び通りでした!」
とメディアはなぜ取りあげないのか。
これも劣化 あれも劣化 (あれ♪愛の水中花♪ ?!)。
これまた泉下の石川真澄氏も「だから言ったじゃないの」
と、たぶんではなく、きっと歯噛みの日々。
(もひとつ訂正→ずっと前の小川淳也衆院議員→「立憲」
ではなく「無所属・野党統一会派」でした)
投稿: 硬い心 | 2020年7月21日 (火) 15時45分
「匿名希望」様
コメント有り難う御座いました。御指摘頂いたところで、5区は直しました。4区は自民党のホームページからの引用です。それと省庁は今時点の名称に。
係累全てを網羅することが目的ではないのですが、正確でなくてはいけませんね。参照するソースにバラつきがありました。
個人的にはいい人もそうではない人もいると思いますが、世襲かどうかの判断には関係がないので省いています。
投稿: イライザ | 2020年7月21日 (火) 16時43分
「硬い心」様
コメント有り難う御座いました。
「匿名希望」さんの指摘を頂きましたが、私も間違うたびに、次はもう少しましな結果につなげようと、未だに反省の多い日を送ってます。
政党名を正確に把握するのは、ある時点から止めた方が良いと思うようになりました。政党も議員もコロコロ変わって何が何だか分からなくなったからなのですが、それと同時進行で政治も劣化してきました。
どうすれば、劣化の速度を遅く出来るのか、そして「進化」の方向に変えられるのか、私も無い知恵を絞って考えています。一緒に頑張りましょう。
投稿: イライザ | 2020年7月21日 (火) 16時51分