来年度の中学校教科書採択に向け要望書提出―府中市
府中市の小川敏男さんから、6月24日の「みてきました! 教科書展示会」につづいて、こんな便りをいただきましたので、紹介します。
7月8日(水)9時より府中市教育委員会にて府中地区生活を守る市民会議(議長森藤理至)と九条の会・府中(世話人代表石岡真由海)が共同で、荻野雅弘教育部長に以下の要望書を提出し、石岡真由海さんより趣旨を説明してもらいました。
2021年度使用の中学校・義務教育学校後期課程教科書採択に係る要望書
今般の新型コロナウィルス(covid-19)感染対策で、より多くの配慮を持って子どもたちの教育環境の整備等に連日奮闘されていることに敬意を表します。
私たち「府中地区生活を守る市民会議」と「九条の会・府中」は、戦争は最大の人権侵害であるとの基本的認識を持ち、戦争を起こさない国づくりや内心の自由の確保、暴力との決別のために、それぞれ地域の課題に取り組む活動を続けている市民団体です。教育において過去の軍国主義教育が二度と行われないよう、教科書選定には大変注目しています。
そこで私たちは、憲法12条の「国民の自由と権利を守り、その乱用を防ぎ、公共の福祉に使用するという、不断の努力と義務」を負う市民として、今年度の中学校と義務教育学校後期課程の歴史・公民・道徳教科書採択について以下のとおり要望します。
1 基本的人権・平和・民主主義・多文化共生など、日本国憲法の精神に則った観点で調査研究と採択を行ってください
2 採択に関わる全ての議論を明確にするために、調査研究の結果に長所・短所を明記し、この要望書を議論の材料として全採択関係者へ開示してください
3 「考え、議論する道徳」の観点を尊重するため、それに逸脱した数値評価や、一つの考え方への誘導がされやすい仕組みの教科書の採択をしないでください。
4 各教科書の平均ページ数の総量は前回から7.6%、1万1280ページ増加しています。現在の多忙な教員からすれば授業が形式的になると心配します。すべての子どもたちが理解できる授業のために、府中市としてできる限り教員を増やすことなどに努力してください
府中市は「生涯にわたって自ら学び、地域社会の振興に主体的に参加する人づくり」のために「教育の日」を定めています。この意義深い目的を達成するために、事実に基づいた基本的知識と歴史認識を子どもたちと教科書で共有することが不可欠と考えます。また、未だ障害と呼ばれる個人の特性、ジェンダー、環境、平和構築、多文化共生など、当市においても現在進行形で深化する課題を解決していく仲間として、子どもたちがものごとを冷静かつおだやかに認識できる教科書を提供し、義務教育の目的を果たしたいものです。
しかし、今回の採択候補教科書の中に、この要望から大きく外れる歴史・公民・道徳教科書があります。育鵬社の歴史教科書と公民教科書、自由社の公民教科書、廣済堂あかつき、日本教科書、教育出版の各道徳教科書です。これらの教科書には、日本国憲法の三大原則(基本的人権の尊重・国民主権・平和主義)の誤った解釈や、世界からの検証に耐えない歴史修正主義、社会情勢の事実誤認等が見られます。
具体的な指摘を以下に付記しますので、採択の参考にしてください。(*多くの問題箇所より抜粋し資料とします。)子どもたちは、平和と民主主義を育てる私たちの大切な仲間です。府中市の教育に、これらの教科書が採択されないことを強く望みます。
資料(省略)
他の参加者から意見と府中市の回答です。
①6月12日から26日まで図書館で教科書の閲覧があったけど、アンケートの提出件数はどのぐらいだったのか。「直接の担当は学校教育課なのでわからない」。
②今回の改定で各教科書の平均ページ数は前回から7.6%、1万1280ページ増えています。現在の多忙な先生からすれば授業が形式的になると心配します。夜遅くまで働かれているようだし、市教委は直接先生の増員は出来ないけど県教委へ増員を働きかけていただきたい。「無回答」。
③自分たちが100%正しいとも思っていないし世間にはいろいろな考え方があることについては認めるけれど、国の教科書だというなら歴史は史実に基づくものであることと、正しいことを教えるべきです。育鵬社の公民教科書には「立憲主義とは憲法にのっとって国を運営していくこと」となっているけど「憲法によって国家権力を制限するのが立憲主義」です。間違ったことは教えてはいけない。そんな教科書は採択してはいけない。「無回答」。
真正面からの答えはありませんでした。
しかも「この要望書は採択委員へは渡さない」という回答だったため「そりゃなかろう、せっかく作ってきたのに委員さんへ渡してくれ」と言いました。しかし府中市は「静謐な中で採択することになっているので、要望があったことだけ伝える」という回答でした。
要望書の中身が大事なのに、委員へ伝わらないことは問題です。しかも、担当の学校教育課はいつも出てこず、総務課が対応。採択委員には要望書のコピーを渡さない。「静謐な環境の中で採択することになっている」と、これじゃアンケートも見せんのではないかと心配します。
その他、通学路や横断歩道の白線が消えかけているので塗って欲しいと要望しました。
府中のみなさんの努力と、府中市の傲慢な態度がよくわかります。小川さんありがとうございます。
いのちとうとし
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史実。わかりません。先の戦争で、陸軍だけが、極悪論です。加瀬俊一さん関連の、本を、読みました。やっぱりね。陸軍大臣阿南さん。この、大臣が、署名押印しなければ、クーデターが、起きていますか。自決死で、クーデターを、止めた、と。戦争継続なら、署名を、しなければいい。何故、14日、でなくて、15日なのですか。その夜の、発表でなくて、翌日に、なったのですか。史実。わかせん。.天皇陛下の、玉音盤、どうして、見つからずに、隠し通せたのですか。あれだけ、反乱兵士が、捜しましまわったのに.日露戦争。お金,戦債を、イギリスの、資本家が、引き受けて、くれたとか。バルチック艦隊は、なぜ、負けたのか。イギリスが、各寄港地で、十分な物資を、売らなかった。石炭は、粗悪品だった。日本近海に来たら、もう、疲労の、窮地だったとか。史実、わかりません。陸軍だけでなくて、アメリカの方針も、調べないと。これって、おかしいですか。
投稿: 匿名希望 | 2020年7月11日 (土) 11時37分
匿名さん
指摘されていることが、このブログとどういう関係にあるのかちょっと不明ですが、それぞれに見方、考え方ががあると思いますので、今ここでおかしいとかおかしくないとかは、申し上げることはできません。
ただ、いろいろな角度から、研究することは大切なことだと思います。
投稿: いのちとうとし | 2020年7月11日 (土) 20時18分