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2020年6月21日 (日)

「無責任」の論理構造 (3) ――「憲法マジック」と「一億総白痴化」――

「無責任」の論理構造 (3)

――「憲法マジック」と「一億総白痴化」――

 

「憲法マジック」とは、憲法中には「○○は××である」と書いてあるのに、実際には「○○は××ではない」という解釈が採用されている、正に魔法の様な事例を指しています。そして「一億総白痴化」という言葉は、1957年に評論家の大宅壮一氏が、テレビの弊害に警鐘を鳴らすために作ったものです。今回は、我が国政治の「無責任」体質は、この二つの原因によって大きく歪められた結果生じていることを示したいと思います。

Photo_20200620143301

 

前回までの結論をまとめておくと、まず、憲法に登場するプレーヤーが、「主権者」である我々国民、国民から仕事を与えられている「公務員」、そして「天皇」であることから始めました。「公務員」が憲法を守り、特に「全体の奉仕者」としてきちんとした仕事をしていれば問題はないのですが、そうでない場合には、その公務員は辞めさせて、別の公務員に仕事を全うさせるというのが、憲法の想定している責任の取り方です。

大事な点ですので、繰り返すと、総理大臣や国務大臣も含めて、「公務員」が、「主権者」の委託した仕事を全うしていない場合には、その職を辞めなくてはならないということになります。この因果関係を「責任を取る」という言葉で表現しているのです。

河井前法相夫妻が逮捕された後の安倍総理の言葉は、「かつて法相に任命した者としてその責任を痛感している。国民に深くおわび申し上げます。この機に国民の皆様の厳しいまなざしをしっかり受け止め、われわれ国会議員は改めてみずから襟をたださなければならないと考えております」です。

「主権者」である国民との関係は「国民の皆様の厳しいまなざし」に薄められ、「辞任して責任を取る」という関係にあることは忘れ去られています。憲法に描かれている、「主権者」と「公務員」の関係が全く頭に入っていないからです。

その理由は、「憲法マジック」にあります。憲法に何が書かれていようと、それは全て無視をして、自分に都合の良いシナリオをでっち上げ、それに従って演技をすれば全て世は事もなしと信じているかのような言動ですが、それを可能にしているのが「憲法マジック」だからです。

具体的には、総理大臣も含めて、「公務員」は憲法を守らなくてはなりません。それは、99条に明白に規定されているからです。

99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

にもかかわらず、この条文の解釈では正反対のことが述べられているのです。1977年2月17日に水戸地方裁判所が百里基地訴訟の第一審で下した判決では、99条について「国政運用の衝にある公務員に対し、憲法遵守・擁護義務を明示しているが、これは、道義的な要請であり」と法的義務ではないことを明確に示しています。また、1981年7月7日には東京高等裁判所が控訴審の判決で「憲法を尊重し擁護すべき旨を宣明したにすぎない」と同趣旨の判断を述べています。

こうはっきりと、憲法遵守義務を否定されてしまっては、そもそも憲法など邪魔だと思っている権力者たちが、勝手気ままなことをする習慣を身に付けてしまっても、当然の成り行きにしか見えないのですが、如何でしょうか。

まだまだ書かなくてはならないことは多いのですが、スペースが限られています。詳細は秋葉忠利著、『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』(法政大学出版局)の第6章と付論2をお読み下さい。

残念ながら、今回もついつい長くなってしまいました。もう一つの理由について、つまり「一億総白痴化」については次回をお楽しみに。

 [2020/6/21 イライザ]

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コメント

いやすでに「化」は要りますまい。
橋本治「バカになったか日本人」2014の「か」も。

白痴にルビをふるなら「どんかん」。
(↑変換不可!→ まさかのPC?!)
前々からまったくもう!と思っていたアベシンの鈍感ぶり。
専用機に乗り込む時→必ず妻より先に機内に入ってしまう。
何年か前→山口県から飛び去るsingleのプーチン氏でさえ、
ドア口で待機していたCAもどき嬢の肩を引き寄せ、
先に入れ、自分は最後だった。
もどき嬢も「もう、カメラが回っているとこうなんだから」の表情でもなかった。
スタッフor外務省→「せめてカメラがある時は欧米のマナーで」
と耳打ちする人はいないのか。
「そのうち恥かけばよい」と思っているなら別だけど。

「硬い心」様

コメント有り難う御座いました。確かに、今の状態では「一億総白痴化」ではなく、「一億総白痴」で十分かもしれません。

敢えて理屈を付けると、「化」という一字で、元は普通の状態だったのに、それが変化していることを示したいのです。となると、逆方向へ戻すことも可能になりますし。

もう一つは、「化」を動詞的に捉えて、因果関係を強調したいからです。マスコミとか政治家が大きな原因で、それに対抗できない私たちの多くも共犯になって「白痴化」が進んでいるという姿です。それを知ることで、もっとましな状態に戻すための対策を考えることが可能になるからです。

もっとも理屈抜きで、言いたいことを言うのも大切だとは思います。

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いやすでに「化」は要りますまい。
橋本治「バカになったか日本人」2014の「か」も。

白痴にルビをふるなら「どんかん」。
(↑変換不可!→ まさかのPC?!)
前々からまったくもう!と思っていたアベシンの鈍感ぶり。
専用機に乗り込む時→必ず妻より先に機内に入ってしまう。
何年か前→山口県から飛び去るsingleのプーチン氏でさえ、
ドア口で待機していたCAもどき嬢の肩を引き寄せ、
先に入れ、自分は最後だった。
もどき嬢も「もう、カメラが回っているとこうなんだから」の表情でもなかった。
スタッフor外務省→「せめてカメラがある時は欧米のマナーで」
と耳打ちする人はいないのか。
「そのうち恥かけばよい」と思っているなら別だけど。

「硬い心」様

コメント有り難う御座いました。確かに、今の状態では「一億総白痴化」ではなく、「一億総白痴」で十分かもしれません。

敢えて理屈を付けると、「化」という一字で、元は普通の状態だったのに、それが変化していることを示したいのです。となると、逆方向へ戻すことも可能になりますし。

もう一つは、「化」を動詞的に捉えて、因果関係を強調したいからです。マスコミとか政治家が大きな原因で、それに対抗できない私たちの多くも共犯になって「白痴化」が進んでいるという姿です。それを知ることで、もっとましな状態に戻すための対策を考えることが可能になるからです。

もっとも理屈抜きで、言いたいことを言うのも大切だとは思います。

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