新型コロナウイルス 電力にも影響-その2
■東京電力では8人感染
東京電力では4月24日までに、子会社の役員や社員など10人の感染が確認されています。特に懸念されるのが東電本社で勤務する社員の相次ぐ感染です。約2700人が勤務していた14階建て本社ビル内で、すでに4人の社員の感染が確認されています。東電では、同じフロアで執務していた社員約200人全員を4月10日から自宅待機(在宅勤務を含む)にしています。
■東京電力 柏崎刈羽原発 工事80%ほど縮小へ 社員らの感染で
東京電力では、4月18日以降、新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所や柏崎市内の事業所で働く社員など5人(うち4人が東電社員、うち1人が家族)の感染が確認されています。
東京電力は、感染拡大を防ぐため、5月10日までのおおむね2週間をめどに、社員の行動履歴を把握するアンケート調査を継続して行うことや、プライベートを含めて県外への往来を原則禁止すること、現在行われている工事を80%ほど縮小することを明らかにしています。これに伴い、原発構内で働いていた約4000人の協力企業の作業員のうち約2700人が、ゴールデンウイーク明けの5月10日まで自宅や寮で待機することとなっています。
また、1日に4000人以上が働く福島第一原発では、ひとたび感染者が出てまん延すれば、24時間体制で進む事故収束作業に多大な影響がでることから、感染者を出さないよう対応を強化しているとしており、4月14日時点で、感染が確認された人はいない。
東京電力柏崎刈羽原発ホームページのトップページから
■大飯原発定期検査の作業員 事前に2週間の自宅待機要請 福井県
原子力発電所で行われる定期検査には全国から多くの作業員が集まることから、福井県は新型コロナウイルスの感染対策として、県外からの作業員に対して事前に2週間自宅で待機することを関西電力に求めています。
8基の原発が立地する福井県では、5月8日から関西電力大飯原発3号機で年1回程度の頻度で実施が定められている定期検査が始まり、およそ1800人の作業員が従事する予定です。
このうち半数近くは県外から集まることから、福井県の杉本達治知事は4月28日、新型コロナウイルスの感染対策として、県外の作業員は作業に入る前に2週間自宅で待機することを関西電力に求めたことを明らかにしました。
大飯原発では普段から社員や作業員らが約1800人おり、定期検査で人の数は倍増。おおい町議の一人は「原発内に3000人も集まればまさに密集、密閉、密接だ」と、この時期に定期検査を行うことに疑問を投げ掛けています。
これに対し関電は4月24日、同町議会に対し、作業員が町に入る2週間前から行動や体調をチェックし、異常があれば町に入れないと説明。検査が順調に進めば7月中旬に発送電を再開できる予定で、「夏場の電源確保のため、この時期に定検を実施する必要がある」としています。
※大飯原発3号機 定期検査の作業開始延期へ
その後、関西電力は、大飯原発3号機の定期検査の作業開始を新型コロナウイルスの感染防止のため2か月から3か月程度、延ばすことを決め、5月1日におおい町を訪れ、延ばす方針を伝えています。
理由は感染の拡大を防ぐためとしています。
■福井の各原発 「コロナ終息まで安全対策工事中止を」 関電に要望
福井県内にある関西電力の美浜,大飯、高浜の各原発で9000人以上の社員や作業員らが集まり安全対策工事などを進めるのは新型コロナウイルスの感染拡大の恐れがあるとして、「若狭連帯行動ネットワーク」や「原発反対福井県民会議」など関西の反原発7団体は4月28日、関西電力に対し、感染拡大の終息まで工事を中止することなどを求める要望書を提出。
関電によると、現在、特重工事や安全対策工事が重なる高浜原発では約4500人が働く。大飯原発は約1800人が働くが、5月8日から始まる予定の定期検査では人数が最大2倍の3600人となるとしています。
■東海第二「事故対策工事中断を」感染防止 原電に再稼働反対団体
原発に反対する県内外の市民団体でつくる「原発いらない茨城アクション実行委員会」は4月23日、東海村内で、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、村に立地する日本原子力発電(原電)東海第二原発で進められている事故対策工事を中断するよう、原電に申し入れています。
申し入れでは、大手ゼネコンが全国で建設工事を止める方針を示していることから、東海第二の事故対策工事に関する建設事業者に対して、中断の判断を伝えるように求めています。
実行委の相楽衛事務局次長は「工事について住民に説明がなく、感染が拡大する中で工事を進める原電の姿勢は問題だ」と批判しています。
■コロナウイルスの感染拡大 電力需給にも影響
新型コロナウイルスの感染拡大は、電力需給にも影響してきています。従来、通常の経済・社会活動が営まれる前提で太陽光発電に影響する気象条件に注意すればよかったが、新型コロナウイルスの感染拡大で、工場の稼働や商業施設の営業の再開が見通せない一方、外出自粛のため家庭の需要は増えると見込まれており、不確定要素は増しています。
九州電力管内では4月15日以降、電力需要はほぼ前年を下回っているが、現在は太陽光発電の稼働が活発になり、需給バランス維持のため出力制御を強いられる時期だとしています。
木原省治
<お断り>今日から掲載を予定していましたイライザさんの「新型コロナウイルス断想」の続きは、「新型コロナウイルス 電力にも影響」が2回になりましたので、明日12日からの掲載となりました。
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